警察庁の調べによると、2024年(令和6年)中の自転車盗の認知件数は174,020件でした。令和4年度でも全国で128,883件と、依然として年間10万件を超える盗難が発生しています。
ある日突然、停めておいたはずの自転車が見当たらない——。そんな状況に直面したとき、「まず何をすればよいのか」と戸惑う方は少なくありません。盗難届の出し方、防犯登録番号が手元にない場合の対応、保険での補償方法など、知っておかなければ損をする手続きが数多くあります。
この記事では、自転車を盗まれた直後に取るべき対処法から、保険・補償の活用方法、そして再び盗まれないための防犯対策まで、順を追って解説します。
- 盗難と断定する前に、撤去・置き間違いの可能性を確認することが重要
- 防犯登録番号がわからない状態でも盗難届は受理される
- 盗難届の受理番号は保険申請・防犯登録抹消・撤去料免除に必要
- ツーロックとアースロックの組み合わせが盗難防止に効果的
自転車を盗まれたらすぐに取るべき対処法
- 盗難と断定する前に、撤去や置き間違いの可能性を確認する
- 防犯登録番号がわからない場合でも、購入書類や車体番号で調べられる
- 最寄りの交番・警察署で盗難届を提出し、受理番号をもらう
- 盗難届提出後、警察のデータベースで情報が共有され、見つかった場合は連絡が来る
- 保険・補償を活用することで、経済的な損失をカバーできる
盗難かどうか最初に確認すること(撤去・置き間違い)

自転車が見当たらないことに気づいたとき、すぐに「盗まれた」と決めつける前に、いくつかの可能性を確認しましょう。
まず、家族が移動させていないか、マンションや駐輪場の管理人が整理のために動かしていないかを確認してください。駅前や商業施設では、無断駐輪として移動されているケースもあります。駐輪場の別の階や少し離れた場所に移動させられていないかも、周囲をよく確認することが重要です。
また、大規模な商業施設や駅の駐輪場では、管理人が移動させているケースもあります。管理事務所に問い合わせるのも有効な手段です。
次に、自治体による強制撤去の可能性も考えられます。各自治体のウェブサイトに自転車保管所が掲載されていますので、確認してみましょう。保管場所へ連絡する際は防犯登録番号を伝えるとスムーズに対応してもらえるとのことです。
こうした初動確認を丁寧に行うことで、無駄な手続きや時間のロスを防ぐことができます。
防犯登録番号がわからない時の調べ方

盗難届を出そうとしたとき、防犯登録番号が手元にないと困ってしまいます。しかし、番号を確認する方法はいくつかあります。
まず、自転車購入時の書類を探してみましょう。「自転車品質保証書」と呼ばれる書類には防犯登録番号の記載欄があります。また、購入時に防犯登録を行うと受け取れる「防犯登録カード(お客様控え)」にも、登録番号やメーカーが記載されています。
書類が見当たらない場合は、購入した自転車販売店に問い合わせてみましょう。販売店では購入者のデータとして防犯登録の情報を保管していることが多く、氏名や購入時期、自転車の特徴を伝えると調べてもらえます。
それでも番号がわからない場合は、「車体番号」が役立ちます。車体番号はフレームに刻印されており、防犯登録番号の代わりになります。主な記載場所はハンドルの根元(ヘッドチューブ)、ペダルを漕ぐ部分の裏側(ボトムブラケット)、サドル下のフレーム部分(シートチューブ)です。なお、防犯登録番号と車体番号は別物で、防犯登録番号はシールに記載され公的に管理されているのに対し、車体番号はフレームに刻印されメーカーが管理しています。
防犯登録番号がわからなくても盗難届は受理されます。車体の色・メーカー・型番など、自転車の特徴をできるだけ詳しく伝えることが重要です。
交番・警察署での盗難届の出し方と受理番号

盗難届は「遺失届」とは異なり、事件性がある場合に提出する書類です。最寄りの交番や警察署で提出でき、所轄警察署刑事課が担当します。
手続きの際に持参するものは、本人確認書類(印鑑)と防犯登録カードです。防犯登録番号がわからない場合でも、身分証明書と自転車の特徴をまとめたメモを持参すれば手続きは可能です。
盗難届の記入では、氏名・住所・年齢・職業・電話番号・車体の特徴・被害に遭った際の状況・日時・場所などを記入します。記入が終わると警察官によるヒアリングが行われます。手続き時間は15分〜30分程度をみておくとよいでしょう。
盗難届が受理されると「盗難届出証明書」が発行されます。また、届け出を行うことで自転車が「盗難自転車」として全国的に手配されます。
受理番号は非常に重要です。保険金の請求や防犯登録の抹消手続き、新しい自転車の登録時にも必要になることがあります。手続き後は控えをなくさないよう保管しておきましょう。
盗難後に自転車が見つかるまでの流れ

盗難届を提出すると、警察のデータベースで盗難された自転車の情報が共有されます。自転車が見つかった場合は、届け出に記載した電話番号に直接連絡が来て、指定された保管所に取りに行く流れとなります。
ただし、自転車窃盗の検挙率はわずか5%台とのことで、見つかるかどうかは保証されません。自力で見つける方法として、近隣の駐輪場や公園を重点的に探すことが有効です。SNSや地域のコミュニティで情報を拡散することも、発見につながることがあるとのことです。
盗難届を出した後に自力で見つかった場合は、盗難届を取り下げる必要があります。取り下げをしないまま自転車に乗っていると、職務質問などの際に余分な手間がかかります。取り下げには印鑑を持って交番または警察署に行き、書類にハンコを押すだけで、10分程度で完了します。
また、盗難された自転車が乗り捨てられて自治体に撤去されるケースもあります。撤去から葉書が届くまでに1ヶ月以上かかることもあるとのことです。盗難届を出しておくと撤去料(3,000円)が免除になる場合があります。免除には管轄警察署・届け出年月日・受理番号が必要です。
保険・補償で経済的損失をカバーする方法

自転車を盗まれた際、条件次第で保険や補償を活用できます。
自転車盗難保険の加入条件は「防犯登録されていること」が前提です。盗難保険の加入料金は自転車購入金額の7%で、補償金額は購入金額の70%、残り30%が個人負担の免責額となります。例えば5万円の自転車であれば保険料は年間3,500円、盗難時の補償は35,000円となります。
中古自転車の場合は購入1ヶ月以内であれば盗難保険への加入が可能で、補償は購入金額の70%です。ただし、個人間で取引された自転車は補償対象外となります。また、鍵をかけ忘れて盗まれた場合は盗難保険が下りません。
保険申請には盗難届の受理番号が必要です。申請には期限があるため、盗難に気づいたら早めに動くことが大切です。
火災保険の家財補償が使えるケースもあります。自宅敷地内での自転車盗難が補償される場合がありますが、契約内容によって条件が異なるため、保険証券を確認するとよいでしょう。
ブリヂストンの自転車で、購入時に「ロビンフッド手帳」がついていた場合は、1年か3年の盗難補償が付いているとのことです。購入時に購入者登録をしておくことが必要です。
なお、盗難保険から補償金を受け取った段階でその自転車の所有権は保険会社に移ります。補償金受取後に自転車が見つかった場合は、補償金を返還することで所有権が元の持ち主に戻ります。
自転車の盗難を防ぐための防犯対策
- ツーロックとアースロックで自転車を固定し、「簡単に持ち去れない」と思わせる
- 防犯力の高い鍵の種類を理解し、U字ロックやチェーンロックを活用する
- GPS・防犯アラームなどのハイテクアイテムと防犯登録を組み合わせてリスクをさらに下げる
ツーロックで自転車を固定する効果的な方法

盗難被害に遭った自転車の約60%が施錠していなかったというデータがあります。自転車から少しでも離れるときは、必ずカギを適切にかけることが基本です。
盗難の発生場所は実に48.3%が住宅(マンション含む)で、特に4階建て以上のマンションでの発生件数が最も多いとのことです。敷地内で管理しているからといって油断はできないことを物語っています。
効果的な対策として、2つ以上のカギをかけることが必須です。さらに重要なのが「アースロック」と呼ばれる方法で、柱・手すり・フェンスなど動かないものに自転車を固定します。サイクルポートの柱やフェンスなどに固定することで、「簡単に持ち去れない」という抑止力になります。
有料の駐輪場のロック(輪止め)は料金を回収する仕組みであって、盗難対策ではないという点にも注意が必要です。
また、人通りの多い場所・防犯カメラのある場所を選んで停めることも有効です。夜間・早朝や人目の少ない場所は狙われやすいとされています。スポーツバイクは転売目的で狙われやすく、軽量で持ち去りやすいため、特に注意が必要です。
防犯力の高い鍵の種類と選び方

鍵の種類によって防犯力は大きく異なります。固く重いカギほど防犯力が高いとされています。
U字ロックは、フレームと固定物を固定できるタイプで、一般的な鎖ロックより耐久性が高く、比較的切断されにくいとされています。ただし、固定できる場所が限定されるため、自宅での使用に特に向いています。
チェーンロックは強度が高く切断に強い特徴があります。柔軟性があり取り付けやすいため、複数の自転車を持つ場合にも便利です。ただし長さによっては重くなることもあります。
ワイヤーロックは柔軟性があり取り回しがしやすいですが、切断されやすいため単独での使用はおすすめできません。補助錠として他の鍵と組み合わせて使うのがよいでしょう。
折りたたみロックは収納性に優れており、持ち運びがしやすい点が特徴です。
サークル錠(シリンダー錠)の場合は、ピッキングや複製が難しいディンプルキーを採用したものがおすすめです。ジョイントワイヤー錠は、ワイヤーとスチールジョイントにカバーされており破壊されにくい特徴があります。
GPS・防犯アラームで盗難リスクをさらに下げる工夫

鍵による物理的な対策に加えて、テクノロジーを活用した防犯アイテムも盗難リスクを下げるのに役立ちます。
GPS機能付きの自転車ロックを使うと、自転車が動かされたときにスマートフォンへ通知が届きます。GPS・Bluetoothトラッカーも盗難防止アイテムとしておすすめです。万が一盗難被害に遭っても自転車の場所を特定できる可能性があります。
防犯アラーム(ブザー)は、自転車に不審な動きがあると大音量のアラームを鳴らして犯人を威嚇します。アラームが鳴ることで犯人が盗難を諦める効果が期待できます。
自転車カバーをかけることも、自転車の種類や状態を隠して盗難リスクを下げる工夫の一つです。
防犯登録は法律により義務付けられており、盗難時に自転車が手元に戻りやすくなります。防犯登録の有効期限は平均10年前後で、都道府県によって異なります。料金は都道府県によって異なりますが、500円〜1,000円程度です。
また、自転車の特徴(カスタマイズ箇所・傷など)を記録しておき、写真撮影しておくことも有効です。スマートフォンで自転車の全体・フレーム・車体番号などを撮影してクラウドに保存しておくと、いざというときに役立ちます。
自転車を盗まれたら取るべき行動と盗難対策まとめ
この記事のまとめです。
- 自転車が見当たらない場合は、まず家族や管理人が移動させていないか、撤去されていないかを確認する
- 各自治体のウェブサイトに自転車保管所が掲載されているので確認する
- 盗難と判断したら、自転車の特徴(色・メーカー・型番・傷など)をメモする
- 防犯登録番号は自転車品質保証書や防犯登録カードで確認できる
- 番号がわからない場合は購入した自転車販売店に問い合わせると記録が残っていることが多い
- 車体番号はフレームに刻印されており、防犯登録番号の代わりになる
- 防犯登録番号がわからなくても盗難届は受理される
- 盗難届は最寄りの交番・警察署で15分〜30分程度で提出できる(印鑑・本人確認書類を持参)
- 受理番号は保険申請・撤去料免除・防犯登録抹消に必要なので必ず保管する
- 自転車窃盗の検挙率はわずか5%台であるため、自力で周辺駐輪場・公園を探すことも有効
- 自力で見つかった場合は盗難届を取り下げる(印鑑を持って交番または警察署へ)
- 盗難保険の加入条件は「防犯登録されていること」が前提で、補償は購入金額の70%
- 鍵をかけ忘れて盗まれた場合は盗難保険が下りない
- 盗難被害に遭った自転車の約60%が施錠していなかったため、必ずダブルロック・アースロックをする
- GPS・防犯アラームなどのアイテムを組み合わせて、盗難リスクを下げる

