自転車に乗る機会が増えている今、交通ルールに対する意識はますます重要になっています。
特に「自転車レッドカード」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これは、自転車の危険運転や交通違反に対して警察から渡される警告票のことですが、具体的にどのような意味があるのか、罰金は発生するのか、何回まで許されるのか、といった疑問をお持ちの方も多いかもしれません。
この記事では、自転車指導警告カードの実態から、2026年4月から導入される新しい青切符制度、そして赤切符による重い罰則まで、読者の皆様が本当に知りたい情報を分かりやすく解説し、安心して自転車を利用するための知識を提供します。
高校生など未成年者がレッドカードを受け取った場合の学校への連絡についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 自転車指導警告カードの意味と、それが「意味ない」と感じる理由を明確にする
- レッドカード交付の回数と、繰り返しの違反が赤切符や講習につながる可能性を理解する
- 青切符制度の導入背景、対象者、違反内容、そして罰金の仕組みを把握する
- 自転車事故の現状や交通ルール遵守の重要性を再確認し、安全運転の意識を高める
知っておきたい自転車レッドカードの基本知識
- 自転車指導警告カードとは?その意味と目的を解説
- レッドカードは何回まで?繰り返しの違反が招く深刻な結果
- 16歳未満の運転者は対象外?未成年への対応と学校への連絡
自転車指導警告カードとは?その意味と目的を解説

自転車指導警告カードとは、警察官が自転車の危険な運転や交通違反を発見した際に、違反者に対して手渡す「警告票」のことです。地域によっては「イエローカード」とも呼ばれることがありますが、その基本的な意味合いは同じです。このカードの主な目的は、自転車運転者に対して交通ルールを守るよう注意を促し、再発防止を図ることです。
対象となる違反行為は多岐にわたり、信号無視や無灯火運転、右側通行、携帯電話を操作しながらの「ながら運転」、イヤホンを使用しながらの運転、傘差し運転などが挙げられます。これらの行為は、自分自身の安全だけでなく、歩行者や他の車両の安全をも脅かす重大な危険をはらんでいます。
自転車指導警告カードには、具体的な違反内容が記載されており、運転者はそれを受け取ることで自身の違反行為を認識させられます。しかし、このカード自体は法的な罰則や処罰を伴うものではありません。つまり、カードを受け取ったからといって、その場で罰金を支払ったり、刑事罰が科されたりすることはないのです。この点が、「レッドカードは意味ない」と感じる人がいる理由の一つかもしれません。
しかし、これは誤解です。レッドカードが「意味ない」わけではなく、警察の内部記録としては残されます。この記録は、今後同じ人物が違反を繰り返した場合に、警察がより厳しい対応を取るための参考資料となるのです。
自転車は、道路交通法上「軽車両」に分類され、自動車やオートバイと同じく車両として交通ルールに従う義務があります。そのため、たとえ軽微な違反であっても、指導警告カードの交付を受けることは、自身の運転を見直し、交通ルールを再確認する重要な機会と捉えるべきです。安全な交通社会を実現するためには、一人ひとりの運転者が交通ルールを正しく理解し、責任ある行動を取ることが不可欠です。
レッドカードは何回まで?繰り返しの違反が招く深刻な結果

「自転車レッドカードを何回受け取ったら問題になるのだろう?」と疑問に思う方もいるかもしれません。実は、レッドカード(自転車指導警告カード)に明確な「何回まで」という規定は存在しません。運転免許のように点数が加算・累積される仕組みではありませんし、1枚目のカードで罰金が科されることもありません。しかし、このカードが「意味ない」わけでは決してなく、繰り返しの違反は非常に深刻な結果を招く可能性があります。
警察は、レッドカードの交付情報を内部で記録しており、同じ運転者が何度も違反行為を繰り返す場合、その記録に基づいて「危険な運転の常習者」として認識されることになります。そうなると、次回以降の取り締まりがより厳しくなる可能性があります。例えば、1枚目や2枚目のレッドカードでは警告で済む場合が多いものの、3枚目以降の違反が重なると、警察の対応は格段に厳しくなることがあるとされています。
最終的には、繰り返しの警告を無視して悪質な違反行為を続けた場合、レッドカードではなく「赤切符」が交付されるリスクが高まります。赤切符は刑事処罰の対象となり、罰金や懲役刑などの刑事罰が科される可能性があり、前科がつくことにもつながります。これは、将来の職業や資格取得にも影響を及ぼす可能性があるため、決して軽視できるものではありません。
また、自転車指導警告カードを受け取った後、「捨ててしまっても問題ないのか?」と考える方もいるかもしれませんが、カード自体を捨てる行為は法律違反にはなりません。しかし、前述の通り、違反内容は警察に記録されており、カードを捨てたからといってその記録が消えるわけではありません。したがって、カードを受け取った際は、単なる紙切れとして扱うのではなく、交通ルール遵守を促す重要な警告として真摯に受け止めることが求められます。
一度でもレッドカードを受け取った場合は、自身の運転習慣を見直し、交通ルールを守る意識を強く持つことが肝心です。安全な自転車利用は、自分自身だけでなく、周囲の人々の命を守ることにも繋がります。
16歳未満の運転者は対象外?未成年への対応と学校への連絡

自転車の交通違反に対する指導や罰則は、年齢によってその対応が異なる場合があります。特に、16歳未満の自転車運転者に対しては、成年者とは異なるアプローチが取られることがあります。
まず、2026年4月1日から導入される予定の自転車の交通違反に対する「青切符」制度は、原則として16歳以上の運転者を対象としています。これは、16歳未満の運転者では交通ルールに関する知識の程度や、交通反則通告制度(青切符制度)の効果に対する理解度に個人差が大きいことを考慮し、画一的な処理になじまないという理由からです。そのため、16歳未満の運転者が違反行為を行ったとしても、直ちに青切符が交付され、反則金を納める義務が生じることはありません。
しかし、だからといって16歳未満の運転者が交通違反をしても問題ないというわけではありません。例えば、自転車指導警告カード(レッドカードやイエローカードと呼ばれるもの)は、14歳以上の運転者を対象として交付されることがあります。これは、刑事罰ではないものの、危険運転があった場合に警察官から渡される警告票であり、違反者への注意喚起と再発防止を目的としています。
さらに、14歳未満の者が危険な違反を行った場合、その情報は個人を特定しない形で、警察、学校、地域で共有されることがあります。これは、教育的な観点から交通安全教育を推進し、違反行為を未然に防ぐための措置です。実際に、文部科学省は、イエローカード(指導警告票)の交付情報を活用して交通安全教育を進めるよう、自治体や学校に要請しています。
特に高校生など未成年者が自転車レッドカードを受け取った場合、地域や学校の方針によっては、学校に連絡されるケースがあります。学校側は、警察からの情報を受けて、保護者とともに該当生徒に対して交通安全に関する指導を強化することが多いです。悪質な違反行為や繰り返しの違反は、学校の内外での活動や、将来の進学に影響を及ぼす可能性も否定できません。
未成年であっても、自転車事故を起こせば、成人と同じように民事上の責任(損害賠償)や刑事上の責任(道路交通法違反、重過失致死傷罪など)を問われる可能性があります。例えば、男子高校生が自転車横断帯を斜めに横断中に男性会社員と衝突し、相手に重大な障害が残ったケースでは、9,266万円もの賠償金の支払いが命じられた裁判例もあります。また、携帯電話を操作しながら無灯火で走行していた女子高校生が看護師と衝突し、相手に重大な障害が残ったケースでは、9,521万円の判決が下されています。
このように、年齢に関わらず、自転車の交通ルールを守ることは非常に重要であり、未成年者であってもその責任は重大です。保護者や教育関係者は、日頃から子どもたちに交通ルールの重要性を伝え、安全運転意識を高めるための指導を徹底する必要があります。
自転車レッドカードだけじゃない!罰則や新しい青切符制度
- 赤切符をもらうとどうなる?自転車運転者講習と刑事罰のリスク
- 2026年4月施行の青切符制度とは?罰金と対象となる違反行為
- 増加する自転車事故の実態と交通ルール遵守の重要性
赤切符をもらうとどうなる?自転車運転者講習と刑事罰のリスク

自転車の交通違反で「赤切符」を交付された場合、これは単なる警告に留まらず、非常に重い結果を招くことになります。赤切符は、自動車やオートバイと同様に、刑事処罰の対象となる重大な交通違反に対して発行されるものです。これまで警告で済まされていた悪質な違反行為に対しても、赤切符が交付されるケースが増えており、警察の取り締まり強化の姿勢が明確になっています。
赤切符を交付されると、運転者は「被疑者」となり、その違反行為は刑事事件として扱われます。具体的には、検察庁へ送致され、検察官の取り調べを経て、場合によっては裁判所での審理にかけられることになります。有罪判決が下されれば、懲役刑や罰金刑などの刑罰が科せられ、前科がついてしまう可能性もあります。前科は、将来の就職や資格取得に大きな影響を及ぼす可能性があるため、その影響は決して小さくありません。
自転車の交通違反における罰金の金額は、違反の種類によって大きく異なります。例えば、信号無視や通行区分違反、一時不停止などの比較的軽微な違反でも、「3か月以下の懲役または5万円以下の罰金」が科されることがあります。さらに悪質な違反、例えば酒気帯び運転の場合は、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が設けられており、酒酔い運転に至っては「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」という非常に重い罰則が適用されます。これらの罰則は、2024年11月1日から「ながら運転」や「酒気帯び運転」に対する罰則強化として施行されています。
赤切符は刑事罰の対象となるため、反則金制度のような「お金を払えば刑事処分を免れる」という選択肢はありません。刑事裁判で裁かれ、刑罰を受けることになるのです。
さらに、赤切符の交付は、「自転車運転者講習」の受講義務にも繋がります。14歳以上の自転車運転者が、3年以内に2回以上、信号無視などの危険行為で赤切符による取り締まりを受けるか、交通事故を起こして送致された場合、都道府県公安委員会から自転車運転者講習の受講が命令されます。この講習は3時間で、受講手数料として6,000円がかかります。もし、この受講命令に従わなかった場合は、5万円以下の罰金に処されることになります。
このように、赤切符は自転車運転者にとって非常に重い影響を及ぼすものであり、自転車を運転する際は「車両である」という意識を常に持ち、交通ルールを厳守することが何よりも重要です。
2026年4月施行の青切符制度とは?罰金と対象となる違反行為

2026年4月1日から、自転車の交通違反に対する取り締まりが大きく変わります。自動車やオートバイと同様に、いわゆる「青切符」による反則金制度が導入される方針が警察庁によって固められました。これは、これまで赤切符による刑事罰の対象となっていた一部の違反行為について、反則金を納めることで刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けずに済むようにする制度です。
この新しい青切符制度が導入される背景には、自転車が関与する事故の増加傾向があります。警察庁のデータによると、交通事故全体の発生件数は減少しているにもかかわらず、自転車が関係する事故の割合は増加し続け、過去最高の23.3%に達しています。死亡や重症事故のうち約4分の3で自転車側に違反行為が確認されており、特に「安全不確認」や「一時不停止」が事故の主な要因となっています。このような状況を受けて、自転車の悪質な交通違反に対する取り締まり強化が喫緊の課題とされていました。
青切符制度の対象となるのは、16歳以上の自転車運転者です。16歳未満の運転者は、交通ルールに関する知識や制度の理解度に個人差が大きいことから、画一的な処理になじまないとして対象外とされています。
対象となる違反行為は、交通事故の原因となるものや、悪質性・危険性・迷惑性が高いものに重点が置かれます。具体的には、113種類の交通違反が対象となる見込みです。警察庁がまとめた反則額の案では、違反行為によって金額は異なりますが、3,000円から12,000円の範囲になる予定です。
主な違反内容と反則金(案)は以下の通りです:
- ながらスマホ運転: 運転中にスマートフォンを使用(保持) – 12,000円
- 信号無視: 信号に従わず交差点に進入 – 6,000円
- 通行区分違反: 車道の右側通行や歩道の無許可通行 – 6,000円
- 一時不停止: 一時停止標識を無視して停止しない – 5,000円
- 遮断踏切立ち入り: 遮断機が下りた踏切に進入 – 7,000円
- 傘差し運転: 傘をさして片手運転 – 5,000円
- イヤホン使用: イヤホンやヘッドホンで音楽を聴きながら運転 – 5,000円
- 無灯火運転: 夜間にライトを点灯せず運転 – 5,000円
- 制動装置不良運転: ブレーキが正常に作動しない状態で運転 – 5,000円
- 二人乗り: 2人以上で乗車(幼児用座席除く) – 3,000円
- 並進運転: 2台以上並んで走行 – 3,000円
青切符が交付された場合、指定された期限内に反則金を納付すれば、刑事罰を科されることなく事件が処理されます。このため、前科がつくことを避けることができます。しかし、反則金の納付に応じない場合は、刑事事件として裁判が行われ、刑事罰を受ける可能性が生じます。
この青切符制度の導入は、自転車運転者の安全意識向上と交通事故の減少を目的としており、自転車が「車両」であるという意識を改めて持ち、交通ルールを遵守するよう促す重要な改正となります。
増加する自転車事故の実態と交通ルール遵守の重要性

近年、自転車は通勤・通学、デリバリーサービスの普及、健康意識の高まりなど、多様な目的で利用されるようになり、その利用機会は大きく広がっています。しかし、それに伴い、自転車が関連する交通事故も増加傾向にあり、社会的な問題となっています。
警察庁の報告によると、交通事故全体の発生件数は減少しているにもかかわらず、自転車が関与する事故の割合は年々増加しており、全交通事故に占める割合は過去最高の23.3%に上っています。特に、死亡事故や重傷事故のおよそ4分の3で、自転車側に信号無視や一時不停止、安全不確認などの違反行為が確認されています。中学生や高校生といった若い世代は、通学などで自転車に乗る機会が多いため、自転車運転中の死傷者数が最も多い世代であり、特に16歳の死傷者数が最も多くなっているというデータもあります。これらの事故の多くは、見通しの悪い交差点での「出会い頭事故」であり、一時停止の標識の見落としや安全確認不足が主な原因とされています。
このような現状を受けて、自転車の交通ルールに対する取り締まりは年々厳格化されています。2023年4月1日からは、年齢を問わず自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務として課せられるなど、安全対策が強化されています。ヘルメットの着用は、万が一の事故の際に頭部への致命傷を防ぐために非常に重要であり、平成29年中の自転車乗用中の死者のうち63%が頭部に致命傷を負っているというデータもあります。
自転車は道路交通法において「軽車両」に分類され、自動車の仲間と位置づけられています。そのため、歩道と車道の区別がある場所では、原則として車道を通行しなければならず、車道の左側を通行するのが基本ルールです。歩道を通行できるのは例外的な場合のみであり、その際も歩行者優先で車道寄りを徐行する義務があります。
交通ルールを守らない運転は、自分が危険な目に遭うだけでなく、歩行者や自動車の運転者など、周囲の人々を危険に巻き込む可能性があります。例えば、信号無視や一時不停止、無灯火運転、二人乗り、並進運転、傘差し運転、携帯電話・イヤホン使用といった「ながら運転」は、重大な事故につながる危険性が高い違反行為です。
交通ルール遵守は、自転車を利用するすべての人にとっての責務です。安全な自転車利用は、自分自身の命と健康を守るだけでなく、社会全体の交通安全に貢献することにも繋がります。改めて、自転車の交通ルールを正しく理解し、責任ある安全運転を心がけることが、事故のない社会の実現に不可欠と言えるでしょう。
総括:自転車レッドカードの理解を深め、安全な自転車利用への意識を高めよう
この記事のまとめです。
- 自転車指導警告カード(レッドカード)は警察が自転車の危険運転や交通違反に対して発行する警告票である
- レッドカード自体に法的罰則や罰金は伴わないが、警察内部に記録が残る
- 「意味ない」と感じる人もいるが、繰り返しの違反はより厳しい取り締まりや赤切符に繋がる可能性があるため重要である
- レッドカードの回数制限は明記されていないが、複数回受け取ると「常習者」と認識されやすい
- カードを捨てても違反記録は消えず、交通ルール遵守の意識が求められる
- 16歳未満の運転者は青切符制度の直接の対象外だが、自転車指導警告カードは14歳以上が対象になることがある
- 未成年者がレッドカードを受け取った場合、学校や保護者に連絡されるケースがあり、進学や将来に影響を及ぼす可能性もある
- 赤切符は重大な違反や繰り返しの悪質な行為に対して発行され、刑事罰の対象となる
- 赤切符による罰金は違反内容により異なり、最高で5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される場合がある
- 赤切符の交付は前科に繋がり、将来に影響を与える可能性がある
- 3年以内に2回以上の危険行為で赤切符を受けるか事故を起こした場合、自転車運転者講習の受講が義務付けられる
- 自転車運転者講習は3時間、手数料6,000円であり、受講命令に従わないと5万円以下の罰金が科される
- 2026年4月1日からは、16歳以上の自転車運転者に対し、青切符による反則金制度が導入される
- 青切符の反則金は3,000円から12,000円程度で、納付すれば刑事罰を免れることができる
- 自転車事故は増加傾向にあり、特に若い世代の死傷者数が多いため、交通ルール遵守の意識向上が不可欠である