自転車のクランクの外し方|種類の見分け方・必要工具・外れないときの対処

自転車のクランクの外し方|種類の見分け方・必要工具・外れないときの対処

自転車のクランクは、種類によって外し方が違います。角型軸のコッタレスクランクは、中央のボルトを外したあとにクランク抜き工具を使います。一方、左側を2本のボルトで固定するホローテックIIは、そのボルト・中央のキャップ・脱落防止プレートを順に扱って外す構造です。

「ボルトは取れたのに、クランクが抜けない」という状態でも、すぐに固着と決めつける必要はありません。まず自分のクランクの形式と、工具が合っているかを確認しましょう。この記事では、形式の見分け方から取り外す順序、作業を止める判断まで説明します。

この記事のポイント
  • クランクの形式別に異なる工具と外す順序
  • 角型軸・オクタリンク・ISISの工具適合
  • ホローテックIIの左側から外す手順
  • 外れないときの確認点と再取付けの条件
目次

自転車のクランクの外し方は種類と工具で決まる

まずは中央の固定方法とクランクの型番を確認する

まずは中央の固定方法とクランクの型番を確認する

クランクは、ペダルとBBの軸をつなぐ部品です。BBはボトムブラケットの略で、クランクの回転を支える部分。左右のクランクと軸が別々になった形式では、クランクを外しても軸は自転車側に残ります。

形式構造・見分ける手がかり取り外し方の基本
角型軸のコッタレス左右それぞれの中央に固定ボルトまたはナットがあり、軸との接合部が四角い形式固定ボルトなどを外し、角型軸に適合するクランク抜き工具を使用
オクタリンク・ISIS軸とクランクの接合部に溝がある形式ワンキーリリースでなければ、対応するクランク抜き工具を使用
左側を2本のボルトで固定するホローテックII左クランクに締め付け用の割れ目と2本のボルトがあり、右クランクと軸が一体左側の固定を解除してから、右側を軸ごと取り外す
ワンキーリリース中央の固定ボルトの周囲に、取り外し機構として働く専用リングがある対象モデルの手順に従い、固定ボルトを緩めて取り外す

ただし、中央にボルトがあるだけでは、角型軸かオクタリンク・ISISかは決まりません。また、角型軸や溝付き軸でも、ワンキーリリースを採用するものがあります。外から見える固定方法を手がかりにしつつ、クランクの型番に対応する説明書で形式を確かめるのが出発点です。

クランクを外す作業と、BBを外す作業も分けて考えましょう。カートリッジ式BBの取り外しには、クランク抜き工具とは別のBBツールを使います。クランクの固定ボルトで覚えた回転方向を、そのままBBに当てはめないこと。BBは取り付け規格によって右側のねじ方向が異なります。

クランク抜き工具は軸の形式とねじの適合で選ぶ

通常のコッタレスクランクでは、中央の固定ボルトを外すレンチと、クランクそのものを軸から抜く工具が必要です。固定部分には六角穴付きボルト、六角ボルト、ナットなどがあるため、「自転車用だから8mmの六角レンチでよい」と一律には決められません。固定部分の形状に合ったレンチを用意します。

クランク抜き工具の具体例は、Park Toolの「CWP-7 クランクプーラー」。先端チップを交換して、角型軸とオクタリンク・ISISの両方に対応する工具です。ただし、対応するクランク側の工具取り付けねじはM22×1.0。

ホーザンの日本語案内にも、TAなど一部のクランクには使用できないと明記されています。

CWP-7を使う対象取り付ける先端チップメーカー製品ページの対応条件
角型軸11.3mm小さい先端はM8×1.0のクランク固定ボルトを使う形式に対応
オクタリンク・ISIS16.3mm大きい先端はM12×1.0またはM15×1.0のクランク固定ボルトを使う形式に対応

どちらも、クランク側の工具取り付けねじがM22×1.0であることが前提です。

この11.3mm・16.3mmは、CWP-7の先端チップの寸法です。クランクの固定ボルトを回す六角レンチのサイズではありません。CWP-7の説明書では、工具の押し出し軸を回すために15mmレンチまたはモンキーレンチを使用します。詳しい部品の位置は、メーカーのCWP-7説明書で確認できます。

ホローテックIIのうち、左側を2本のボルトで固定する形式には、通常のクランク抜き工具を使いません。固定ボルト用の六角レンチ、中央のキャップに合う専用工具、脱落防止プレートを持ち上げるための細い工具という組み合わせです。工具を買う前に、どの取り外し方を使うクランクなのかを決めましょう。

角型軸のコッタレスクランクを外す順序と回す方向

角型軸のコッタレスクランクを外す順序と回す方向

角型軸のクランクは、中央のボルトを外すだけでは抜けません。軸は奥に向かって少しずつ太くなる形状で、クランクがそこにはまり込んで固定されています。そのため、固定ボルトを取り除いたあとに、クランク抜き工具で軸から離す工程が必要です。

ホーザンのスクエアタイプの手順では、歯先によるけがを防ぐため、最初にチェーンを外側のチェーンリングへ移します。作業中は歯先に触れないよう注意し、目の保護具も着用します。クランクを保持してボルトを緩めるときや、工具を回すときは、レンチとクランクの間に手を挟まないようにしてください。

  1. 中央の固定部分を確認する。 通常のダストキャップでボルトが隠れている場合は、キャップの形式に合った工具で外します。ワンキーリリースの専用リングは、この手順で取り外す対象ではありません。
  2. 固定ボルトまたはナットを反時計回りに外す。 ここで扱う通常のコッタレスクランクの固定ねじは、左右とも反時計回りで緩みます。
  3. 穴の中にワッシャーが残っていないか確認する。 ボルトだけを外して、ワッシャーを残したまま次へ進まないようにします。
  4. 適合するクランク抜き工具を奥まで取り付ける。 最初は手でねじ込み、斜めに入らないようにします。手で入らない工具を、レンチで無理に押し込んではいけません。
  5. 工具の押し出し軸またはハンドルを時計回りに回す。 クランクが軸から抜けたら、クランクから工具を外します。反対側も同じ手順です。

特に大切なのは、クランク抜き工具を十分にねじ込んでから、抜き取りの力をかけることです。ホーザンは、クランク側の工具取り付け部分のねじが薄く、工具の装着が不十分だとクランクを破損するおそれがあると注意しています。浅く掛かった状態で「少しだけ試す」のも避けましょう。

回す方向で迷ったら、いま回している部品を区別してください。中央の固定ボルトを緩めるときは反時計回り。工具を装着したあと、クランクを抜くための押し出し軸を回すときは時計回りです。同じ場所で作業していても、回しているねじの役割が違います。

オクタリンク・ISISは対応工具に替えて外す

オクタリンクとISISは、軸とクランクを溝で組み合わせる形式です。オクタリンクは8本、ISISは10本の溝を使います。似た形の軸でも、クランクと軸を互いに交換できる規格ではありません。

ワンキーリリースを採用していないものは、固定ボルトを外してから対応するクランク抜き工具を使います。基本の作業順は角型軸と共通ですが、角型軸専用の工具をそのまま使うことはできません。CWP-7を使う場合は、前述の大きい先端チップへ交換して作業します。

固定ボルトは反時計回りに外し、残ったワッシャーを取り除きます。そのあと、対応工具をクランクに十分ねじ込み、工具の押し出し部分を時計回りに回して抜き取ります。工具の名前が「コッタレスクランクプーラー」でも、それだけで適合が決まるわけではありません。

軸への対応と、クランク側の工具取り付けねじの両方を見ます。

取り付け直すときにも、溝付き軸ならではの注意があります。軸とクランクの溝が合わないまま固定ボルトを締めると、クランクを大きく損傷させるおそれがあります。

抜き取り工具が共通でも、取り付ける部品の規格まで共通になるわけではない、と覚えておきましょう。

自転車のクランクの外し方と外れないときの判断

ホローテックIIは左側の固定を解除してから右側を抜く

ここで扱うのは、左クランクを2本のボルトで締め付け、右クランクと軸が一体になっているホローテックIIです。中央の固定ボルトを抜き取り工具に交換する、角型軸の手順とは異なります。左側の固定を解除し、左クランクを外してから、右側を軸ごと抜き取ります。

  1. 左クランクの2本の固定ボルトを緩める。 5mmの六角レンチを使い、片方だけを一気に緩めず、交互に少しずつ緩めます。
  2. 中央のキャップを外す。 キャップに合う専用工具を使い、反時計回りに回して取り外します。
  3. 脱落防止プレートを持ち上げる。 左クランクの割れ目にあるプレートを、細い工具で持ち上げて解除します。
  4. 左クランクを軸から外す。 プレートを解除した状態で、左クランクを手で引き抜きます。
  5. 右クランクを軸ごと右側へ引き抜く。 左側が外れてから、残った右クランクと一体の軸を取り外します。

脱落防止プレートは、左クランクが外れるのを防ぐための部品です。ボルトとキャップを緩めても、プレートを解除していなければ、まだ取り外しの準備は終わっていません。シマノの取付け図にも、プレートとそのピンが別の部品として示されています。

中央のキャップと2本の固定ボルトは、役割も異なります。キャップは左クランクを軸へ引き寄せてベアリングの調整を行い、そのあと2本のボルトで固定する仕組みです。取り付け直すときに、キャップを固定ボルトと同じ強さで締めるものと考えないでください。

工具なしで外せる?専用の抜き取り機構がある場合を区別する

工具なしで外せる?専用の抜き取り機構がある場合を区別する

通常の角型軸やオクタリンク・ISISで、ワンキーリリースがないクランクを外すなら、適合するクランク抜き工具を用意します。ボルトを外したあとにクランクが残るのは、抜き取りの工程が必要だからです。「ボルトが取れたから、あとは工具なしで引けばよい」とは考えないでください。

一方、ワンキーリリースは、固定ボルトの周囲にある専用リングとボルトが、クランク抜き工具のように働く仕組みです。この形式では、六角レンチ1本で着脱できるものがあります。ただし、これは「工具をまったく使わない」という意味ではなく、別体のクランク抜き工具を必要としないという意味です。

見た目がキャップに似ていても、ワンキーリリースの専用リングは、通常のダストキャップと同じ扱いにはできません。ホーザンの角型軸の手順では、ワンキーリリースの場合は周囲の専用キャップを外さず、締まっているかを確認するとしています。リングの扱いを含めて、対象クランクのメーカー指定を優先しましょう。

ホローテックIIも通常のクランク抜き工具は不要ですが、固定ボルトを緩めるレンチやキャップ専用工具は必要です。「専用の抜き工具がいらない形式」と「手だけで取り外せる状態」を分けて考えると、工具選びで迷いにくくなります。

固い・外れないときは工具の適合と取り付け状態を見直す

クランク抜き工具を回しても抜けないときは、力を増やす前にいったん止めます。ホーザンは、オクタリンク・ISISの取り外しでこの状態になった場合、クランクの破損、工具の取り付け不良、工具の不適合などのおそれを挙げています。外れない理由を「固着」の一つに絞ることはできません。

  • 固定ボルトや、その下のワッシャーが残っていないか
  • 角型軸用とオクタリンク・ISIS用を取り違えていないか
  • 交換式の工具では、先端チップが対象に合っているか
  • 工具の取り付けねじが十分に掛かっているか
  • クランク側の工具取り付けねじに破損がないか

角型軸の案内でも、工具を回して引き抜けない場合は、一度工具を外して作業をやり直し、クランク側のねじが破損していないか確認するとしています。特に、最初から手でねじ込めない工具を無理に入れるのは避けてください。抜く力をかける段階と、工具を正しく装着する段階を混同しないことが大切です。

ホローテックIIなら、まず2本の固定ボルト、キャップ、脱落防止プレートの解除を見直します。形式に合う取り外し状態になっているか判断できない場合は、叩いて抜く方法へ切り替えず、販売店へ相談しましょう。シマノは、説明に不明な点がある場合は自分で作業しないよう案内しています。

取り付け直す前に締付け条件と点検方法を確認する

取り付け直す前に締付け条件と点検方法を確認する

取り外せたことと、正しく取り付けられることは別です。シマノのディーラーマニュアルは専門知識を持つ整備者向けで、専門知識のないユーザーが、その資料を参照して部品を取り付けないよう明記しています。初心者の方は、外す前に再取付けを誰が行うかまで決めておきましょう。

角型軸では、左右のクランクが互いに反対を向くように取り付け、固定ボルトを対象製品の適正トルクで締めます。軸との接合部分へのグリス塗布は、メーカーによって必要なものと不要なものがあります。ボルトのねじ部分への塗布と、角型軸への塗布を一緒に考えず、対象モデルの指定に従う必要があります。

ホローテックIIの具体例として、シマノ105のFC-R7000を対象に含むメーカー資料では、右クランクを挿入し、左クランクと軸の幅広い溝を合わせ、キャップ、はずれ止めプレート、固定ボルトの順で取り付けます。プレートには向きがあり、ピンが確実にセットされていることも確認する条件です。

FC-R7000を対象に含むメーカー指定締付け・点検条件
中央のキャップ0.7〜1.5N・m
左クランクの2本の固定ボルト交互に締め、各ボルトを12〜14N・mで確認
取付け後の再確認約100km走行後にトルクレンチで締付けトルクを再確認し、その後も定期的に確認

この数値を、角型軸の固定ボルトや別メーカーのクランクへ流用しないでください。

対象モデルの図と条件は、シマノのクランクセット用ディーラーマニュアルで確認できます。キャップと固定ボルトでは指定トルクが大きく違うため、外した順序を逆にするだけでなく、部品ごとの締付け条件を守ることが必要です。

乗車前には、クランクアームの亀裂と、締結部分のガタ・緩みを確認します。シマノは、乗車中のペダリングに異常を感じた場合も販売店へ相談するよう案内しています。取り付けたあとにガタがある、必要な締付けを確認できないという状態なら、そのまま走り出さず整備を依頼してください。

自転車のクランクの外し方まとめ

この記事のまとめです。

  • クランクは、中央の固定方法を手がかりにしつつ、型番に対応する説明書で形式を確認する。
  • クランクの取り外しとBBの取り外しは別の作業で、工具やねじの回転方向も区別する。
  • 通常の角型軸のコッタレスクランクは、固定ボルトを外したあとに適合するクランク抜き工具を使う。
  • 通常のコッタレスクランクの固定ボルトは左右とも反時計回りで緩み、抜き工具の押し出し軸は時計回りに回す。
  • 抜き工具を使う前にワッシャーを取り除き、工具をクランクへ十分にねじ込む。
  • オクタリンク・ISISには対応工具が必要で、角型軸専用工具をそのまま使わない。
  • 左側を2本のボルトで固定するホローテックIIは、ボルト・キャップ・脱落防止プレートを解除し、左側から外す。
  • ワンキーリリースは別体の抜き工具が不要な形式で、通常のダストキャップと専用リングを同じ扱いにしない。
  • 外れない場合は工具の適合、先端、装着状態、クランク側のねじを見直し、判断できなければ販売店へ相談する。
  • 再取付けは対象モデルの指定が前提。FC-R7000を含む資料ではキャップ0.7〜1.5N・m、左側固定ボルト各12〜14N・mで、約100km走行後にも再確認する。
  • 乗車前は亀裂、ガタ、緩みを点検し、締付けを確認できない状態やペダリングの異常は販売店へ相談する。
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この記事を書いた人

はじめまして、チャリネコです。
子どもから大人まで、きっと誰もが一度は乗ったことのある自転車。
とても身近な乗り物だけど、実は知らないことっていっぱいありませんか?

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