高校生と自転車は切っても切れない関係です。毎朝、自転車で通学する姿は高校生の風物詩とも言えますが、一方で「高校自転車競技」という世界では、インターハイや全国選抜大会を目指して日々練習に打ち込む選手たちもいます。
「うちの子が自転車競技を始めたいと言っているけど、どんな部活なのか知りたい」「高校生になったら自転車通学になるけど、何を準備すればいいのか不安」——こんな疑問を持つ方は少なくないのではないでしょうか。
この記事では、高校の自転車競技(インターハイ・全国選抜大会の仕組みや強豪校の特徴)と、高校生の自転車通学(メリット・デメリット・電動アシスト自転車の活用)という2つの視点から、高校生と自転車にまつわる情報を整理してお伝えします。
競技を目指す方にも、通学手段を検討している方にも、それぞれの立場で役立つ情報をぜひ最後までご覧ください。
- 高校の自転車競技はインターハイと全国高校選抜の2大大会が頂点で、トラック・ロードなど複数の種目がある
- 自転車競技の強豪校は専用設備や寮を整え、元プロ競輪選手などの指導者のもとで全国制覇を目指している
- 高校生の自転車通学は交通費ゼロ・部活時間の確保などメリットが大きいが、距離や天候面の課題もある
- 電動アシスト自転車は高校生の長距離通学に有効で、通学専用モデルは3年間の耐久性を考慮して設計されている
高校自転車競技の仕組みと強豪校の特徴
- インターハイ・全国選抜大会の概要と競技種目
- インターハイ2025の主な結果と注目選手
- 高校自転車競技部の実態と強豪校の取り組み
インターハイ・全国選抜大会の概要と競技種目

高校の自転車競技には、大きく2つの頂点となる全国大会があります。ひとつは毎年夏に開催される「全国高等学校総合体育大会(インターハイ)」、もうひとつは毎年3月に開催される「全国高等学校選抜自転車競技大会(全国高校選抜)」です。
全国高校選抜大会は令和7年度(2026年)が第49回大会で、3月12日から16日にかけて行われます。トラック競技の会場は群馬県の日本トーターグリーンドーム前橋、ロード競技の会場は静岡県の日本サイクルスポーツセンターが使用されています。
インターハイについては、令和7年度(2025年)は鳥取県で開幕したことが確認されています。
競技内容は、大きく「トラック競技」と「ロード競技」の2種類に大別されます。トラック競技では、男女ともスプリント、ケイリン、タイムトライアル(男子1km・女子1km)、個人パーシュート、ポイントレースなど複数の種目が実施されます。男子にはチームスプリントやチームパーシュート、4km速度競走といったチーム・距離系の種目もあります。女子の3km個人パーシュートは、2025年のインターハイでの3kmとしての実施が初めての試みでした。
ロード競技は男子・女子それぞれ個人ロードレースが実施されます。
このようにトラックとロードそれぞれで豊富な種目が設けられており、選手は自分の特性に合った種目で全国を目指すことができます。全国高校選抜とインターハイという2大大会が高校生自転車競技の頂点とされており、各都道府県の予選・地区大会を勝ち抜いた精鋭が集まります。
インターハイ2025の主な結果と注目選手

2025年のインターハイ自転車競技では、複数の種目で激しい優勝争いが展開されました。
男子チームスプリントの決勝は、岡山工(岡山)と南大隅(熊本)の顔合わせとなりました。昨年準優勝だった岡山工が1分3秒508のタイムで南大隅を抑えて優勝を果たしています。岡山工の脇野凌功選手は「重点的に強化してきた交代の部分もうまくできましたし、組み立ても完璧だったと思います。去年は2位で悔しい思いをしたので、最後のインターハイで優勝することができて大満足です」とコメントしています。
男子チームパーシュートでは、北桑田(京都)が4分23秒412のタイムで優勝し、奈良北(奈良)に3秒以上の差をつけました。北桑田の柴田渓佑選手は「お世話になった皆さんに、日本一という結果で恩返しすることができて嬉しいです。2年かかってしまいましたが、やっと日本一になれました」と語っています。
女子3km個人パーシュートでは、白井愛美選手(広島市工)が3分52秒804という大会新記録で優勝し、2位の三谷優空選手(松山学院)を退けています。白井選手は「インターハイでは初めての優勝なのですごく嬉しいです。対戦相手との差ではなく、しっかりと自分のペースを保って走ることができました。この後にはジュニア世界選手権も控えているので、もっと強くなれるように頑張っていきます」とコメントしています。
また、全国高校選抜2024/2025の男子1kmタイムトライアルでは、小岩虎ノ介選手(別府翔青)が1分5秒442で優勝。男子3km個人パーシュートは松田奏太朗選手(松山学院)が3分25秒593で優勝を果たしています(予選では3分23秒224の大会新を記録)。
高校自転車競技部の実態と強豪校の取り組み

高校の自転車競技部の中でも、特に実績が際立つのが松山学院高等学校(愛媛)です。「人間力なくして競技力の向上はなし」という理念を掲げ、インターハイ全国制覇V3を達成した強豪校として知られています。
松山学院は2017年から2019年の3年連続でインターハイ学校対抗総合優勝を達成しており、2017年にはトラック・ロード・総合の各部門で優勝という史上初の記録も打ち立てています。さらにその後も全国高校選抜での学校対抗総合優勝やインターハイでの実績を重ねています。
充実した環境も松山学院の強みです。校内に専用トレーニングルームを完備しており、天候に関係なく練習が行える体制が整っています。学生寮と食堂も備えており、県外から入学した選手でも安心して競技に専念できる環境があります。
練習メニューも高水準です。平日は放課後16時から練習を開始し、土日はロードトレーニングとして100kmから120kmを走るというハードなメニューが組まれています。ヘッドコーチの菊池仁志氏は30年間競輪選手として活躍(28年間S級)した経験を持ち、公認自転車競技コーチの資格も保有しています。
堺市立堺高等学校の自転車競技部も「ペダルは踏まずに回すこと」をモットーに、月・水・木・土・日の週5日活動しています。同校の岩谷駿之介選手は全国選抜大会でケイリン5位、インターハイで7位、翌全国選抜で2位と3大会連続入賞の快挙を達成し、全日本自転車競技選手権大会のジュニアケイリンでも3位を獲得しています。
高校生の自転車通学と自転車選びのポイント
- 地元の高校と学区外の高校、自転車通学の実態
- 自転車通学のメリット・デメリットを整理する
- 高校生向け通学自転車の選び方と電動アシスト自転車
地元の高校と学区外の高校、自転車通学の実態

高校の通学手段は、どの高校を選ぶかによって大きく変わります。公立高校には通学区域(学区)というものがあり、「地元の高校(自転車・徒歩通学)」か「学区外の高校(電車・バス通学)」かの2パターンに大別されるとの報告があります。
学区外の高校へ通学できる生徒の割合は、募集定員の13%と定められており、学区外受験は狭き門となっているとのことです(この割合は各都道府県によって異なります)。
ある双子の子どもを持つ保護者の実例では、息子は自転車で10分の地元高校、娘は電車で片道1時間以上の学区外高校に通学しているとのことです。この2つの通学スタイルの違いは、日々の生活リズムや家計にも大きな影響を与えます。
自転車通学の場合、通学時間はわずか10分程度で、朝の支度にゆとりが生まれ、放課後もすぐに帰宅できるため、勉強・部活動・家庭での時間をバランスよく過ごせるとのことです。
一方、電車通学の場合は毎月の定期代が月12,000円、年間で約150,000円の出費になるケースとの報告があり、家計に響く負担となる場合があります。
また、電車通学では大雨や雪の日に遅延・運休のリスクがある一方、自転車通学は路線障害のリスクがないものの、天候そのものの影響を受けやすい点が課題となります。どちらの通学手段にも一長一短があり、子どもと家庭の状況に合わせた選択が重要です。
自転車通学のメリット・デメリットを整理する

自転車で地元の高校に通うスタイルには、いくつかのメリットがあります。
まず、朝の時間に余裕が生まれる点が挙げられます。地元の高校は家から近いため、朝はゆっくり起きても登校に間に合い、早起きが苦手な生徒でも余裕を持って準備できるとのことです。
次に、交通費がゼロになる点も大きなメリットです。徒歩や自転車で通えるため定期代がかからず、節約したお金を塾代や進学費用に充てられるとの報告があります。
通学時間がほとんどかからないため、放課後を部活動や趣味に十分使えることも利点のひとつです。学校が自宅から近いことで、保護者が体育祭や保護者会などの学校行事に参加しやすくなるという声もあります。
一方、デメリットとして、知り合いが多く新鮮味がない、偏差値や学習環境の選択肢が限られる場合がある、といった点が報告されています。
電車通学のデメリットとしては、朝の早起きが負担になりやすい点があります。始業時間に合わせるため朝6時45分の電車に乗る必要があるケースも確認されており、睡眠時間が削られて疲れがたまりやすくなる可能性があります。
また、自転車通学でも通学距離が長い場合は体力の消耗が激しくなる点には注意が必要です。対策として、夜のうちに持ち物や服を準備しておくなど、朝の負担を減らす工夫が有効とのことです。
高校生向け通学自転車の選び方と電動アシスト自転車

高校生の通学用自転車として定番とされているのがシティサイクル(ママチャリ)です。26インチでシマノ製6段変速ギア付きのモデルが通学に人気とのことで、前かご・ライト・鍵が標準装備されているものが便利です。荷物が多い部活生にはリアキャリア(後ろ荷台)付きのモデルも選択肢に入ります。
近年は電動アシスト自転車への関心が高まっており、高校生にとって移動手段のメインが自転車という方も多いとの報告があります。
パナソニックが展開する通学用電動アシスト自転車「TIMO(ティモ)」シリーズは、3年間の通学使用を想定した耐久性設計で製造されているとのことです。価格は全4モデル共通で145,000円となっています。
バッテリー容量が大きく、1回の充電で約60km走行できるため、往復10kmの通学であれば6日に1回の充電で済むとのことです。充電は家庭用コンセントで行え、1回の充電時間は約4.5時間(TIMOの場合)との情報が確認されています。
液晶スイッチでアシストモードを切り替えられる機能も搭載されており、坂道や長距離でのモード活用に便利です。前かごは大きめの設計で、スクールバッグをそのまま入れられるサイズが好評とのことです。
パナソニックはバッテリー・モーター・車体を自社製造しており、国内工場での一台一台の組み立てにこだわっているとのことです。通学自転車を選ぶ際には、6段変速ギア・前かご・ライト・鍵の有無を基本チェックポイントとして確認することをおすすめします。
高校生と自転車——競技と通学のまとめ
この記事のまとめです。
- 高校自転車競技の2大大会はインターハイ(全国高等学校総合体育大会)と全国高等学校選抜自転車競技大会で、どちらも全国レベルの頂点に位置する
- 競技種目はトラック(スプリント・ケイリン・タイムトライアル・パーシュートなど)とロード(個人ロードレース)の2種類に大別される
- 全国高校選抜大会は毎年3月に開催され、令和7年度(2026年)は第49回大会として3月12日から16日に行われる
- 2025年インターハイ男子チームスプリントは岡山工が優勝(タイム1分3秒508)、男子チームパーシュートは北桑田(京都)が優勝(4分23秒412)を果たした
- 女子3km個人パーシュートは白井愛美(広島市工)が3分52秒804の大会新記録で優勝し、インターハイでの3kmとしての実施は2025年が初めてだった
- 全国高校選抜2024/2025では、松田奏太朗(松山学院)が男子3km個人パーシュートで3分25秒593で優勝している
- 松山学院高等学校(愛媛)はインターハイ学校対抗総合優勝V3を達成し、元競輪選手(30年間活躍・S級28年間)の菊池仁志氏がヘッドコーチを務める強豪校
- 松山学院の練習は平日放課後16時から練習開始、土日は100kmから120kmのロードトレーニングというハードな内容が確認されている
- 公立高校には通学区域(学区)があり、学区外の高校への進学は募集定員の13%という枠が設けられている
- 自転車で地元高校に通う場合は交通費ゼロ・通学時間約10分・部活時間の確保などのメリットがある
- 電車で学区外高校に通う場合は月12,000円・年間約150,000円の定期代が必要になるケースが確認されている
- 電動アシスト自転車のパナソニック「TIMO」シリーズは3年間の通学使用を想定した耐久性設計で価格は145,000円(全4モデル共通)
- TIMOは1回の充電で約60km走行でき、往復10kmの通学であれば6日に1回の充電で済む
- 通学自転車を選ぶ際の基本チェックポイントは6段変速ギア・前かご・ライト・鍵の有無
- 高校生と自転車の関係は「競技」「通学」どちらの場面でも適切な知識と準備を持って選ぶことが充実した高校生活につながる

