歩行者用道路を自転車・原動機付自転車が通行できる条件とは?道路交通法のルールを解説

歩行者用道路を自転車・原動機付自転車が通行できる条件とは?道路交通法のルールを解説

歩行者用道路は、原則として自転車を含む軽車両・原動機付自転車・小型特殊自動車など、あらゆる車両の通行が禁止されています。ただし、特別な通行許可を受けた場合や、規制の対象から除外されている場合は、これらの車両も通行できるとされています。

また、2023年7月1日に施行された道路交通法の改正により、電動キックボード等を対象とした「特定小型原動機付自転車」という新しい車両区分が設けられました。この区分に該当する車両のうち、一定の要件を満たすものは「特例特定小型原動機付自転車」として、歩道の一部を通行できる場合があります。

歩行者用道路を通行できるかどうかは、道路標識の種類・設置場所・特別な許可の有無によって変わります。通行が認められる場合でも、歩行者絶対優先のルールや徐行義務が課されており、違反した場合は罰則の対象となります。

この記事では、道路交通法が定める歩行者用道路の基本ルールと、特定小型原動機付自転車に関する最新の通行ルールを整理しています。

この記事のポイント
  • 歩行者用道路は道路交通法第9条による交通規制で、原則として全車両の通行が禁止される
  • 特別許可や規制除外指定があれば、自転車・軽車両・原動機付自転車も通行できる場合がある
  • 2023年7月から特定小型原動機付自転車(電動キックボード等)に専用の通行ルールが設けられた
  • 通行が認められる場合でも、歩行者を優先して徐行しなければならない義務がある
目次

歩行者用道路の基本知識と自転車・軽車両の通行ルール

  • 道路交通法が定める歩行者用道路の意味と道路標識の見方
  • 通行が原則禁止になる車両と例外的に認められる場合の条件
  • 通行許可を受けた車両が守る義務と通行禁止違反の罰則内容

道路交通法が定める歩行者用道路の意味と道路標識の見方

道路交通法が定める歩行者用道路の意味と道路標識の見方

「歩行者用道路」という名称は、道路法と道路交通法のそれぞれに登場しますが、両者の定義は異なります。

道路法上の「歩行者専用道路」は、道路管理者が設置・管理する道路の一種です。道路法第48条の13第3項では「もつぱら歩行者の一般交通の用に供する道路又は道路の部分(当該道路の他の部分と構造的に分離されているものに限る)」と定義されており、道路法第四十八条の十五第三項によって車両による通行が禁止されます。

一方、道路交通法上の「歩行者用道路」は、都道府県公安委員会による交通規制の一種です。「歩行者の通行の安全と円滑を図るため車両の通行を禁止する」(道路交通法第9条)と定められており、道路標識(325の4)が設置された道路がこれにあたります。

この道路交通法の歩行者用道路は、いわゆる「歩行者天国」に相当するものや、住宅街の道路などで通行禁止規制が行われているものが存在します。道路法による場合とは異なり、規制対象の車両や規制日時を限定して規制されることもあります。

たとえば、歩行者天国として特定の曜日や時間帯だけ規制される場合や、特定の車両(大型車など)に限って通行禁止とする場合なども、この仕組みで対応できるとされています。

また、歩行者用道路においては、歩行者の対面(右側)交通義務・歩道等通行義務・横断の方法や禁止に関する規制が適用除外となります。これにより、通常は車両が走る道路の中央寄り部分を、歩行者が自由に通行したり横断したりできる状態になります。

道路法の歩行者専用道路は、道路全体が歩行者専用道路として指定されるか、または道路の一部分であってその他の部分とは構造的に分離されているものが指定されます。また、供用開始しようとする場合には、そこが道路または道路の部分として未供用である必要があるとされています。

日本において歩行者専用道路は、鉄道の廃線跡を利用した道路や、河川の堤防や道路の側面を利用した道路など、全国的に整備されています。また、ニュータウンなどの大規模な開発事業における車歩分離施策として、計画時から歩行者専用道路として整備された道路(遊歩道)もあります。

通行が原則禁止になる車両と例外的に認められる場合の条件

通行が原則禁止になる車両と例外的に認められる場合の条件

道路交通法上の歩行者用道路では、原則として「車両」の通行が禁止されます。

歩行者用道路の規制は、自動車に限らず、自転車などを含む広範な車両を対象として通行を禁止するものです。

ただし、規制対象の車両を限定している場合は、その指定以外の車両は通行できます。また、以下の2つのケースでは、本来禁止対象となる車両でも通行できるとされています。

1つ目は、特別な通行許可を受けている場合です。道路交通法では、所定の手続きを経て許可を受けた車両は、歩行者用道路であっても通行が認められます。

2つ目は、規制の対象から除外されている場合です。規制の内容によっては、特定の車両種別やカテゴリが規制対象から最初から外れていることがあり、その場合は許可なく通行できます。

いずれのケースでも、歩行者が道路の中央寄りを自由に通行できるという前提は変わりません。通行が認められる車両であっても、歩行者優先をしっかり守る必要があります。

なお、規制の対象外となっている車両と許可を受けた車両では、通行が認められる根拠が異なります。規制対象外の車両は元から禁止の範囲に含まれていないため、通行するにあたって特別な手続きは不要です。一方、許可を受けた車両は、道路交通法の規定に基づき公安委員会等から個別に認められた通行権を持ちます。いずれの場合も、歩行者の安全確保を優先するという点は共通しています。

通行許可を受けた車両が守る義務と通行禁止違反の罰則内容

通行許可を受けた車両が守る義務と通行禁止違反の罰則内容

歩行者用道路において特別な通行許可を受けた場合、または規制対象から除外された場合に通行するときは、歩行者に特に注意して徐行しなければならないとされています。これが「歩行者絶対優先」の原則です。

通行が認められた場合でも、歩行者が道路の中央寄りを自由に通行できる状態は変わりません。車両側が歩行者の動きに合わせて一時停止・徐行を繰り返すことが求められます。

一方、通行禁止の歩行者用道路を無許可で走行し、交通事故を起こした場合には非常に重い罰則があります。

自動車運転死傷行為処罰法(平成25年11月27日法律第86号)の施行により、自動車・原動機付自転車を運転し、歩行者用道路の規制に故意に違反して交通事故を起こし人を死傷させた者は、危険運転致死傷罪(通行禁止道路運転)として処罰されます。この場合、最長20年以下の懲役(加重により最長30年以下)に処される可能性があります。

また、行政処分として、運転免許の基礎点数45〜62点が付与され、免許取消・欠格期間5〜8年の処分を受けることとなっています。

歩行者用道路は歩行者の安全のために設けられた規制です。自転車など車両で通行する際は、道路標識を確認し、無許可での進入を避けることが大切です。

特定小型原動機付自転車(電動キックボード)の通行ルール詳細

  • 特定小型原動機付自転車とは?2023年7月施行の新しい車両区分の基準
  • 特例特定小型原動機付自転車が歩道を通行できる5つの要件
  • 歩道通行時の走行場所・速度ルールと歩行者優先の義務
  • 飲酒運転・二人乗りなど罰則付きの主な禁止事項一覧

特定小型原動機付自転車とは?2023年7月施行の新しい車両区分の基準

特定小型原動機付自転車とは?2023年7月施行の新しい車両区分の基準

令和5年(2023年)7月1日、道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)が施行されました。これにより、原動機付自転車の車両区分が「一般原動機付自転車」と「特定小型原動機付自転車」に細分化されました。

特定小型原動機付自転車とは、原動機付自転車のうち、車体の大きさおよび構造が自転車道における他の車両の通行を妨げるおそれのないものであり、かつその運転に関し高い技能を要しないものとして、道路交通法施行規則で定める基準に該当するものを指します。

具体的な基準は以下のとおりです。

【車体の大きさ】

  • 長さ:190センチメートル以下
  • 幅:60センチメートル以下

【車体の構造】

  • 原動機として定格出力0.60キロワット以下の電動機を用いること
  • 時速20キロメートルを超える速度を出すことができないこと
  • 走行中に最高速度の設定を変更することができないこと
  • AT(オートマチック・トランスミッション)機構がとられていること
  • 最高速度表示灯(緑色灯火で点灯または点滅するもの)が備えられていること

これらの基準を満たさないものは、形状が電動キックボード等であっても特定小型原動機付自転車にはなりません。その場合は令和5年7月1日以降も引き続き、一般原動機付自転車または自動車に応じた交通ルールが適用され、運転には運転免許が必要とされています。

なお、特定小型原動機付自転車は運転免許なしで運転できますが、16歳未満の方の運転は禁止されています。また、公道を走行するには自賠責保険(共済)への加入とナンバープレートの取り付けが義務付けられています。

特例特定小型原動機付自転車が歩道を通行できる5つの要件

特例特定小型原動機付自転車が歩道を通行できる5つの要件

特定小型原動機付自転車は原則として車道を通行しますが、一定の要件を満たす場合は「特例特定小型原動機付自転車」として、歩道の一部を通行できる場合があります。

特例特定小型原動機付自転車とは、特定小型原動機付自転車のうち、他の車両を牽引しておらず、かつ以下の5つの要件をいずれも満たすものとされています。

要件1: 最高速度表示灯(緑色の灯火)を点滅させていること

要件2: 最高速度表示灯を点滅させている間は、車体の構造上、時速6キロメートルを超える速度を出すことができないこと(アクセル操作で6km/hを超えないよう走行させている場合は、この要件を満たさないとされています)

要件3: 側車を付けていないこと

要件4: ブレーキが走行中容易に操作できる位置にあること

要件5: 鋭利な突出部がないこと

また、通行できる歩道は「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識等が設置された歩道に限られます。この標識がない歩道は、特例特定小型原動機付自転車であっても通行できません。

さらに、最高速度表示灯が取り付けられていない車両は要件1を満たせないため、歩道または路側帯を通行することができないとされています。なお、令和5年7月1日施行前に製作されたものについては、令和6年12月22日まで最高速度表示灯の取り付けが猶予されていましたが、この期間はすでに終了しています。

これらの要件は、歩道上での歩行者との安全な共存を図るための基準とされています。時速6キロメートル以下での走行が求められており、歩行者と混在する場所での安全な走行速度として設定されています。また、「構造上」6km/hを超えられないことが求められており、単にアクセルを緩めて6km/h以下で走行している状態では要件を満たさない点に注意が必要です。

歩道通行時の走行場所・速度ルールと歩行者優先の義務

歩道通行時の走行場所・速度ルールと歩行者優先の義務

特例特定小型原動機付自転車として歩道を通行する場合には、走行場所・速度・歩行者への配慮について細かいルールが定められています。

走行場所については、歩道の中央から車道寄りの部分を通行しなければなりません。歩道に「普通自転車等通行指定部分」がある場合は、その指定部分を通行します。

速度については、最高速度表示灯の点滅により時速6キロメートル以下での走行が求められます。なお、歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければなりません。

路側帯の通行については、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、道路の左側に設けられた路側帯(歩行者用路側帯を除く)を通行できます。この場合も、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行することが必要です。

信号については、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示がある場合、または特例特定小型原動機付自転車が横断歩道を進行して道路を横断する場合は、歩行者用信号に従わなければなりません。

罰則についても確認しておきましょう。通行禁止の道路を通行した場合は3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金、普通自転車通行指定部分がない場所で車道寄り以外を通行した場合は2万円以下の罰金または科料の対象となるとされています。

また、車道通行が原則であることも覚えておきましょう。車道と歩道または路側帯の区別があるところでは、車道を通行しなければなりません。自転車道も通行できます。道路では原則として左側端に寄って通行し、車両通行帯のない道路では左側端に寄ること、車両通行帯のある道路では一番左側の通行帯を走ることが求められます。

信号についてはもう一点補足があります。横断歩道に近づいたときは、横断する人がいないことが明らかな場合を除き、手前で停止できるよう速度を落として進む必要があります。歩行者が横断しているときや横断しようとしているときは一時停止して道を譲らなければならず、違反した場合は3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金等の対象となるとされています。

飲酒運転・二人乗りなど罰則付きの主な禁止事項一覧

飲酒運転・二人乗りなど罰則付きの主な禁止事項一覧

特定小型原動機付自転車の運転においては、以下の行為が禁止されており、それぞれに罰則が定められています。

16歳未満の者への運転禁止

16歳未満の方は特定小型原動機付自転車を運転できません。16歳未満への車両提供も禁止されています。

罰則:6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金

飲酒運転の禁止(酒酔い運転)

お酒を飲んで運転してはなりません。

罰則:5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金等

飲酒運転の禁止(酒気帯び運転)

酒気を帯びた状態での運転も禁止されています。

罰則:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金等

二人乗りの禁止

特定小型原動機付自転車での二人乗りはできません。

罰則:5万円以下の罰金等

保安基準不適合車両の運転

保安基準を満たさない車両の運転は禁止されています。

罰則:3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金等

踏切での一時停止義務違反

踏切を通過しようとするときは一時停止して安全を確認しなければなりません。

罰則:3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金等

割り込み等の禁止

停止・徐行中の車両の前に割り込んだり、前を横切ったりしてはなりません。

罰則:5万円以下の罰金

なお、乗車用ヘルメットの着用については努力義務とされており、着用しなかった場合の罰則はありません。ただし、交通事故時の被害軽減に有効とされており、SGマークやJCFマークなど安全性を示すマークの付いたものの着用が推奨されています。

歩行者用道路と自転車・軽車両の通行ルールまとめ

この記事のまとめです。

  • 歩行者用道路は道路交通法第9条による交通規制であり、都道府県公安委員会が設定する
  • 道路標識(325の4)が設置された道路が「歩行者用道路」にあたる
  • いわゆる「歩行者天国」や住宅街の一部道路がこれに相当する
  • 歩行者以外の車両(自動車・自転車など)が原則通行禁止
  • 規制対象の車両を限定している場合は、対象外の車両は通行できる
  • 特別な通行許可を受けた場合や規制対象から除外されている場合は通行が認められる
  • 通行が認められる場合でも、歩行者絶対優先の原則に従い徐行しなければならない
  • 故意に規制に違反して死傷事故を起こした場合は危険運転致死傷罪(最長20年以下の懲役)の対象となる
  • 2023年7月1日から、特定小型原動機付自転車(電動キックボード等)の新しい車両区分が施行された
  • 特定小型原動機付自転車の基準は「長さ190cm以下・幅60cm以下・定格出力0.60kW以下・最高速度20km/h以下・AT機構・最高速度表示灯の設置」
  • 特例特定小型原動機付自転車として歩道を通行するには、最高速度表示灯の点滅・6km/h以下・側車なし・ブレーキ操作可能・鋭利な突出部なし、の5要件を満たす必要がある
  • 通行できる歩道は「普通自転車等及び歩行者等専用」の標識が設置された場所に限られる
  • 歩道通行時は車道寄りの部分を走行し、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止が必要
  • 飲酒運転(酒酔い)の罰則は5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金等
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この記事を書いた人

はじめまして、チャリネコです。
子どもから大人まで、きっと誰もが一度は乗ったことのある自転車。
とても身近な乗り物だけど、実は知らないことっていっぱいありませんか?

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