自転車に乗っていると、後輪ブレーキから「キーキー」と耳障りな音が鳴り出したり、レバーを握ってもなかなか速度が落ちなかったりといった経験をしたことはないでしょうか。また、気づいたらブレーキがかかりっぱなしでペダルが重くなっていた、というトラブルに遭遇した方もいるかもしれません。
こうした後輪ブレーキのトラブルは、ブレーキの種類や仕組みを理解しておくと、原因の見当がつきやすくなります。自転車の後輪ブレーキには主にバンドブレーキ・ローラーブレーキ・サーボブレーキの3種類があり、それぞれ構造が異なるため、起こりやすいトラブルと対処法も変わってきます。
この記事では、各ブレーキの仕組みから、音鳴りの原因と解消方法、効きが悪いときの調整方法、かかりっぱなしになる原因と直し方、そして正しいブレーキの掛け方まで、後輪ブレーキに関するトラブル対処を幅広く解説します。
- 自転車の後輪ブレーキにはバンドブレーキ・ローラーブレーキ・サーボブレーキの3種類がある
- バンドブレーキの音鳴りは構造上の問題で、注油は厳禁
- ブレーキが効かない主な原因はワイヤーのたるみ・シューの摩耗・汚れ
- かかりっぱなしの典型的な原因はワイヤーのサビで、交換で解消できる
自転車後輪ブレーキの種類と仕組みを理解しよう
- バンドブレーキ:音鳴りしやすい構造とその理由
- ローラーブレーキ:静音性に優れた密閉型ブレーキの仕組み
- サーボブレーキ:バンドブレーキとの違いと特徴
- 後輪ブレーキを構成するパーツの役割
バンドブレーキの仕組みと音鳴りしやすい理由

バンドブレーキは、安価なシティサイクルやママチャリに広く採用されているブレーキです。構造がシンプルでコストを抑えられることから普及していますが、「音鳴りしやすい」という弱点を持っています。
仕組みとしては、後輪ハブの外周に取り付けられたドラムを、C字型の金属バンドで外側から締め付けることで制動力を得ます。ブレーキレバーを握るとワイヤーが引かれ、バンドの両端を押し広げるカムが動き、バンド内側の摩擦材がドラムに押し付けられる仕組みです。
この構造上、ドラムとバンドの間に雨水が入り込みやすく、水分による錆や摩擦状態の変化が音鳴りを引き起こします。雨の日や翌日に音鳴りがひどくなりやすいのは、こうした構造上の特性によるものです。
一度音鳴りが発生すると、清掃や調整で一時的に軽減できることはありますが、構造的に摩擦音を消すのは難しく、再発する可能性が高い状況です。新品のママチャリでも、パーツの品質や相性によっては数日使っただけで音鳴りが発生するとの報告もあります。
なお、音鳴りを解消しようとブレーキ内部に潤滑油(CRC 5-56など)を注油することは厳禁です。油分が摩擦力を低下させ、制動力が著しく落ちて危険な状態になります。
ローラーブレーキの仕組みと静音性の秘密

ローラーブレーキは、バンドブレーキの弱点を克服するために開発された、より高性能なブレーキシステムです。現在では、バンドブレーキに代わりローラーブレーキが後輪ブレーキの主流となっています。
仕組みの最大の特徴は、ブレーキ機構全体が金属製のケースに覆われた「密閉構造」である点です。ハブ内部でローラー(ころ)を介してブレーキシューを外側へ押し広げ、ドラムの内壁に内側から圧着させることで制動力を得ます。バンドブレーキが「外側から締め付ける」のに対して、ローラーブレーキは「内側から押し広げる」方式です。
この密閉構造のおかげで雨水や埃が内部に侵入しにくく、天候に左右されない安定した制動力を発揮します。また作動音が静かなのが大きな特徴で、耐久性も高い点が評価されています。
一方で、構造が複雑なため重量があり、部品価格も高価という面があります。また、ブレーキ性能を維持するためにメンテナンスとして専用グリスが必要です。グリスが不足すると音鳴りや制動力の低下を招くため、定期的な補充が欠かせません。
サーボブレーキの特徴とバンドブレーキとの違い

サーボブレーキは、バンドブレーキ(ドラムブレーキ)を改良して生まれた後継タイプのブレーキです。外見はバンドブレーキと似ていますが、内部構造が大きく異なります。
最大の特徴は、音が出にくく静かに止まれる点です。バンドブレーキが外側からバンドで締め付けるのに対し、サーボブレーキはブレーキ摩擦面がドラム内側にある構造で、ドラムの内側から頑丈なブレーキシューで押さえつける仕組みになっています。
制動感もバンドブレーキとは異なります。バンドブレーキはレバーを握った瞬間に「ガツン!」と強い制動感があるのに対して、サーボブレーキは「フワッとソフトに」効き始めるとのことです。制動力が自然に立ち上がるため、コントロールしやすいという報告があります。また、ブレーキレバーを深く握れば車輪をロックすることも可能です。
急激なロックが起こりにくく安全性が高まる点もメリットのひとつです。バンドブレーキが搭載されている自転車の多くでサーボブレーキへの交換ができるとのことですが、車種によって適合部品が異なるため、専門店での確認が必要です。

後輪ブレーキを構成するパーツの役割

後輪ブレーキは、主に4つのパーツで構成されています。ブレーキレバー・ワイヤー・アーム・ブレーキシューのそれぞれが連動することでブレーキが機能します。
ブレーキレバーは、ハンドル部分に設置されているパーツで、握る力の加減がブレーキの効きに直接反映されます。強く握れば強いブレーキ、軽く握れば穏やかなブレーキがかかります。
ブレーキワイヤーは、アームを動かすためのパーツです。インナーワイヤー(細い金属製の芯)とアウターワイヤー(インナーを保護する樹脂製の外皮)の二重構造になっています。アウターワイヤーが破れてインナーがむき出しになると、雨などでサビが生じてブレーキの効きが悪くなる可能性があるため注意が必要です。
アームは、ブレーキシューを固定する金属製のパーツです。サビや注油不足などが原因で可動部の動きが悪くなると、ブレーキの効きが低下します。
ブレーキシューは、ホイールを挟んで摩擦によりブレーキをかけるゴム製のパーツです。繰り返しのブレーキで摩耗するため、すり減ったまま放置すると最終的にはホイール自体がすり減るリスクがあります。定期的な状態確認が重要です。

自転車後輪ブレーキのよくあるトラブルと対処法
- 後輪ブレーキの音鳴りの原因と解消方法
- ブレーキの効きが悪いときの原因と調整方法
- ブレーキがかかりっぱなしになる原因と直し方
- 後輪ブレーキの正しい掛け方とレバーの調整ポイント
後輪ブレーキの音鳴りの原因と解消方法

自転車の後輪から「キーキー」と音がする場合、ほとんどがバンドブレーキの構造的な問題です。まずは前後どちらから音がしているか特定することが大切です。ママチャリは右レバーが前ブレーキ、左レバーが後ブレーキになっているため、左右のレバーを別々に操作して音の出どころを確認しましょう。
後輪ブレーキからの音鳴りと確認できた場合、雨や経年劣化によってバンドブレーキの内部に水分が侵入し、摩擦状態が変化していることが主な原因として挙げられます。清掃や調整で一時的に軽減できることはありますが、バンドブレーキである限り再発する可能性が高い状況です。
この際、絶対にやってはいけないことがあります。ブレーキに潤滑油(CRC 5-56など)を注油することです。油分が摩擦力を低下させ、ブレーキが効かなくなって大変危険です。チェーンに注油する際も、ブレーキに油がかからないよう細心の注意が必要です。
根本的な解決策としては、バンドブレーキからサーボブレーキへの交換が有効です。サーボブレーキに交換すると音鳴りがなくなり、走行時の快適性が向上します。交換には専用工具と技術が必要なため、自転車専門店に依頼することをおすすめします。判断に迷う場合も、専門店に相談するのが安心です。

後輪ブレーキの効きが悪いときの原因と調整方法

ブレーキの効きが悪いと感じたときは、原因を切り分けることが大切です。主な原因として次の4つが挙げられます。
原因1: ブレーキワイヤーへの水分侵入とサビ ワイヤーのインナーに水分が入り込んで錆び、動作不良を起こすことがあります。ワイヤー全体が茶色く錆びている場合は、調整では根本的な解決にならず、交換が必要です。
原因2: ワイヤーのたるみ ブレーキワイヤーが伸びてたるむと、レバーを深く握らないと速度を落とせない状態になります。軽度のたるみであれば、ブレーキレバーの付け根にある「アジャストボルト」を反時計回りに回してワイヤーを張り直すことで調整できます。たるみが大きい場合は、ブレーキ本体側のワイヤー固定ナットを緩め、ワイヤーを引っ張って締め直す方法もあります。
原因3: ブレーキシューの摩耗 繰り返しのブレーキ操作でシューが擦り減ると、制動力が低下します。シューが摩耗したまま使い続けると、ホイール自体もすり減るリスクがあるとの報告があるため、早めの対処が必要です。
原因4: 砂・泥・油の付着 ブレーキ部分に砂や泥、油が付着すると滑りやすくなり、効きが悪くなります。ウエスなどで汚れを取り除く清掃が有効です。
ブレーキの不調の原因特定は難しいケースも多いため、不安を感じたら自転車屋に持ち込むことをおすすめします。
後輪ブレーキがかかりっぱなしになる原因と直し方

後輪ブレーキがかかりっぱなしで後輪が回らなくなった場合、典型的な原因はワイヤーのサビです。ワイヤーが錆びて抵抗ができると、ブレーキを握った後にバネの反発だけでは元の位置に戻らなくなります。つまり「ブレーキをかけたまま戻らない」状態になるのです。この場合の解決策はワイヤーを新品に交換することです。お店での修理費用は2,000〜3,000円程度との報告があります。
また、ワイヤーが固着すると走行中も常にブレーキがかかった状態になり、「ペダルが重い」と感じることがあります。この症状が出たら早めに点検することが大切です。
サビ以外にも、次のような原因でブレーキがかかりっぱなしになることがあります。
ワイヤーの位置ずれ ブレーキケーブルの位置がずれると後輪ブレーキがかかりっぱなしになることがあるようです。この場合、元の位置に戻すだけで解消できるケースもあるとのことです。
ブレーキレバー部分でのケーブルの外れ ブレーキレバーのところでケーブルが外れかかっていると、ケーブルの張りが強くなり、ブレーキがかかりっぱなしの状態になります。ケーブルの頭(銀の部分)をブレーキレバーの溝に戻すことで解消できます。
原因が不明な場合は、自転車屋に持ち込んで診てもらうのが安全です。

後輪ブレーキの正しい掛け方とレバーの調整ポイント

日本ではJIS規格で右レバーが前輪ブレーキ、左レバーが後輪ブレーキと定められています。ただし、海外メーカーのスポーツバイクでは逆の配置になっているものも多いため、乗り換えた際には確認が必要です。
ブレーキの掛け方にはコツがあります。後ろブレーキを先に掛けて速度を落とし、最終的には左右両方のレバーを握って制動させることが大切です。前ブレーキだけで急に止まろうとするとロックして転倒するリスクがあるため、注意が必要です。
ブレーキレバーの「遊び」についても理解しておきましょう。「遊び」とは、レバーを握り始めてから実際にブレーキが効き始めるまでの空走距離のことです。遊びがゼロだとわずかな操作でも急制動になりコントロールしにくく、遊びが大きすぎると制動が遅れて危険になる可能性があります。
走行を続けると遊びが大きくなる傾向があります。「ブレーキの反応が遅い」と感じたら、アジャストボルトを調整して適切な遊びに戻すことが大切です。調整後は安全な場所でブレーキの効き具合を確認してから走行するようにしましょう。
自転車後輪ブレーキのトラブルと対処法まとめ
この記事のまとめです。
- 自転車の後輪ブレーキには主にバンドブレーキ・ローラーブレーキ・サーボブレーキの3種類がある
- バンドブレーキは安価なシティサイクルに多く採用され、ハブ外周のドラムを金属バンドで締め付けて制動する
- バンドブレーキは構造上音鳴りが発生しやすく、雨の日には効きが著しく低下する弱点がある
- バンドブレーキへの注油は厳禁で、油分が摩擦力を低下させ制動力が著しく落ちる
- ローラーブレーキは密閉型で天候に左右されない安定した制動力と静音性に優れ、現在では後輪ブレーキの主流となっている
- ローラーブレーキは専用グリスが不足すると音鳴りや制動力の低下を招くため、定期的な補充が必要
- サーボブレーキはバンドブレーキの後継タイプで、音鳴りが少なく制動力が安定している
- 後輪ブレーキは4つのパーツ(レバー・ワイヤー・アーム・ブレーキシュー)が連動して機能する
- 後輪の音鳴りはほとんどがバンドブレーキの構造的問題で、根本的な解決にはサーボブレーキへの交換が有効
- ブレーキの効きが悪い主な原因はワイヤーのサビ・たるみ、シューの摩耗、砂や泥の付着の4つ
- 軽度のワイヤーたるみはアジャストボルトを反時計回りに回して調整できる
- 後輪ブレーキがかかりっぱなしになる典型的な原因はワイヤーのサビで、交換によって解消できる
- ワイヤーの位置ずれやレバー部分でのケーブル外れもかかりっぱなしの原因になることがある
- 正しいブレーキの掛け方は後ろブレーキで先に速度を落とし、最終的に両方のレバーを握って制動させること
- ブレーキレバーの「遊び」が大きくなったと感じたらアジャストボルトで調整し、不安な場合は自転車屋に持ち込むのが安心

