「自転車 イヤホン 捕まった」と検索している多くの人は、すでに警察に止められて不安になっているか、これから注意されないか心配しているはずです。
日本では、道路交通法と各都道府県の条例・公安委員会規則によって、自転車のイヤホン使用に関するルールが細かく定められています。道路交通法第70条の安全運転義務と、第71条第6号(運転者の遵守事項を都道府県公安委員会が定められる)が基本にあり、これを受けて各都道府県が「イヤホン等で必要な音が聞こえない状態で運転してはならない」といった規則を作っています。
さらに、2024年11月1日施行の道路交通法改正で、自転車の「ながらスマホ」(手に持って通話・操作したり画面を注視しながらの運転)に対して、6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金、交通の危険を生じさせた場合は1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金という重い罰則が新設されました。
そして2026年4月1日からは、16歳以上の自転車利用者を対象に、いわゆる青切符(交通反則通告制度)が自転車にも導入される予定です。全国の自治体が公表している資料では、公安委員会遵守事項違反の代表例として「傘さし運転」「無灯火」と並んで「イヤホン・ヘッドホン使用」が挙げられ、多くの自治体で反則金5,000円と案内されています。
この記事では、通勤・通学や街乗りで自転車を使う高校生・大学生・社会人を主な対象に、「なぜイヤホンで捕まるのか」「どこまでが違反になるのか」「片耳や骨伝導はどう扱われるのか」「青切符が始まると何が変わるのか」を、自転車専門の視点で整理して解説します。なお、本記事は2025年11月30日時点で公表されている日本国内の情報に基づいています。
- 自転車イヤホン違反の本当の根拠は「周囲の音が聞こえない状態」かどうか
- 全国一律の「イヤホン禁止」条文はなく、道路交通法と各都道府県の公安委員会規則の組み合わせで規制されている
- 条例違反や安全運転義務違反には、5万円以下の罰金などの刑事罰が用意されている
- 2024年11月から自転車の「ながらスマホ」が懲役・罰金の対象となり、2026年4月からは青切符制度でヘッドホン・イヤホン使用に反則金5,000円が科される想定
- 片耳・骨伝導・オープンイヤーでも、音量や走行状況次第では「捕まる」可能性がある
- 捕まらないためには「耳をふさがない機種+極小音量+危険地点では音を止める」が最低ライン
- 最も安全で確実なのは「交通量の多い場所ではイヤホンを外す」というシンプルな習慣を身につけること
自転車でイヤホン捕まった理由
- 自転車イヤホン違反の法的な位置づけ
- 条例で禁止されるケースと罰則
- 片耳・骨伝導でも捕まる条件
- 実際に捕まったときの流れ
- 改正道交法と青切符の影響
自転車イヤホン違反の法的な位置づけ

まず押さえておきたい重要なポイントは、「自転車でイヤホンを使うこと」そのものを、道路交通法が全国一律で直接禁止しているわけではない、という点です。弁護士や保険会社の解説でも、「イヤホン運転そのものを全国一律で明示的に禁止する条文はないが、状況次第で違反になる」と説明されています。
道路交通法には、次のような規定があります。
- 第70条(安全運転の義務)
車両等の運転者は、道路や交通の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。 - 第71条第6号
都道府県公安委員会が、運転者の遵守事項(守るべき細かいルール)を定めることができる。
この第71条第6号を根拠に、各都道府県の公安委員会規則で、
- イヤホンやヘッドホンを使用して音楽等を聴くなど、安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態で自転車を運転してはならない
といった条文が定められています。東京都・大阪府・茨城県など、多くの地域で同趣旨の規定があり、自転車も対象に含まれています。
警察庁が出している通達「イヤホン又はヘッドホンを使用した自転車利用者に対する交通指導取締り上の留意事項」では、取締りの考え方が次のように整理されています。
- 片耳か両耳か、カナル型かオープンイヤー型かといった「形」は本質ではない
- 「安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態」かどうかで違反かどうかを判断する
- オープンイヤー型や骨伝導型でも、音量や使用状況によっては必要な音が聞こえない状態になり得る
ここでいう「必要な音」とは、クラクション・緊急車両のサイレン・歩行者の声・自転車ベル・警察官の呼びかけなど、事故回避に直結する音です。
つまり、警察官が「この聞こえ方では危険だ」と判断すれば、イヤホンの種類にかかわらず「安全運転義務違反」または「公安委員会遵守事項違反」として扱われる可能性があります。逆にいえば、見た目だけで即アウトではなく、「音量」「装着方法」「呼びかけへの反応」などを総合的に見て判断されるのが現在の運用イメージです。
なお、安全運転義務違反や公安委員会遵守事項違反には、5万円以下の罰金などの刑事罰が用意されています(実際の適用はケースによります)。
条例で禁止されるケースと罰則

実務上さらに重要なのが、都道府県ごとの条例や公安委員会規則です。多くの都道府県で、次のような規定が設けられています。
- イヤホンやヘッドホンを使用して音楽等を聴くなど、安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態で自転車を運転してはならない
- ただし、補聴器の使用や業務上の無線受信など、一定の例外を除く
東京都の例では、「イヤホン等を使用して安全な運転に必要な音又は声が聞こえないような状態で運転しないこと」と規定されており、これに違反すると道路交通法第71条第6号および第120条第1項に基づき5万円以下の罰金の対象となります。
内閣府や政府広報の自転車特集でも、傘さし運転と並んで「イヤホンやヘッドホンを使用するなどして安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態での運転」は5万円以下の罰金の対象であると説明されています。
このため、次のような状態で走行していると、条例違反として「捕まる」可能性が高くなります。
- 両耳を完全にふさぐカナル型イヤホンやオーバーヘッド型ヘッドホンで大音量再生
- ノイズキャンセリングをオンにして、外音がほとんど聞こえない状態
- 音楽や動画に没頭しすぎて、警察官の呼びかけやクラクションに反応できない
もっとも、実務ではいきなり罰金というより、まずは口頭での注意や「自転車指導警告カード(いわゆるイエローカード)」による警告が中心です。
悪質なケースや事故を伴うケースでは、従来どおり赤切符(刑事手続)で正式に送致されたり、2026年4月以降であれば青切符による反則金につながると考えておきましょう。なお、具体的な条文の内容や罰則の書きぶりは都道府県ごとに少しずつ異なるため、自分が住んでいる都道府県警察や自治体のウェブサイトも必ず確認してください。
片耳・骨伝導でも捕まる条件

「片耳ならセーフですよね?」「骨伝導なら違反にならないですよね?」という質問は本当に多いところですが、残念ながら「絶対に大丈夫」とは言えません。
警察庁の通達では、片耳イヤホンやオープンイヤー型・骨伝導イヤホンについて次のように整理されています。
- 片耳か両耳か、耳を完全にふさぐかどうかだけで自動的に違反かどうかは決まらない
- オープンイヤーや骨伝導でも、音量や環境によっては必要な音が聞こえない状態になる
- したがって、「個別具体の事実関係」に即して違反かどうかを判断する
保険会社や法律事務所の解説でも、「片耳ならOK」「骨伝導なら無条件で合法」とは扱われておらず、耳をふさがないタイプでも、大音量で使用していた場合には違反や過失を重く見られる可能性があるとされています。
実際の取締りでは、おおむね次のようなポイントが確認されます。
- 警察官が声をかけたとき、振り向くなどすぐに反応できるか
- 緊急車両のサイレンやクラクションに気づけているか
- 「少し音量を上げてみてください」と言われたとき、その状態でも周囲の音が十分聞こえるか
これらを踏まえ、「この聞こえ方では危険だ」と判断されれば、片耳でも骨伝導でも指導・警告、場合によっては違反として扱われます。
特に、次のようなケースは片耳・骨伝導であっても「捕まってもおかしくないゾーン」と考えた方が安全です。
- 片耳でも、外の音がほぼ聞こえないレベルの大音量で音楽を再生している
- 骨伝導イヤホンでも、低音強調モード+大音量で音に集中している
- 交通量の多い幹線道路や見通しの悪い交差点を、スマホ画面をチラ見しながら走行している
逆に、オープンイヤーや骨伝導を使う場合でも、
- 隣の人との会話が普通にできる音量まで絞る
- 交差点や見通しの悪い場所では一時停止して音を止める
- 雨風が強い日は、イヤホン使用自体を控える
といった工夫をしない限り、「片耳だから大丈夫」とは到底言えません。
実際に捕まったときの流れ
「自転車でイヤホンをしていたら警察に止められた」というとき、現場ではどのような流れになることが多いのでしょうか。
各地の警察や報道の説明を総合すると、現時点ではおおむね次のようなステップが一般的です。
- 駅周辺の通学路やオフィス街の交差点など、事故が多い地点で警察官がイヤホン使用中の自転車を発見
- 笛を鳴らしたり声をかけたりして、安全な場所に誘導される
- 「音楽を聴いていましたか?」「こちらの声はどの程度聞こえていましたか?」など、簡単な質問をされる
- イヤホンの種類や音量、呼びかけへの反応の仕方などを確認し、危険性の有無を判断
- 軽度と判断されれば、口頭注意や自転車指導警告カード(イエローカード)の交付で終了
- 危険な走行や再三の違反、事故に直結しそうな状況では、赤切符(刑事事件としての処理)や、青切符制度開始後であれば反則金による処理につながる
イエローカード自体には反則金や刑事罰はありませんが、「今後同じ違反をすれば、より重い措置を取る」という警告の意味合いがあります。学生の場合は、学生証の提示を求められて氏名や住所を確認されることもあり、繰り返し注意を受けていると、次は正式な違反処理につながるリスクが高まります。
特に、通学時間帯に同じルートで繰り返し違反していると、「指導・警告から検挙へ」という流れになりやすいと考えておきましょう。
改正道交法と青切符の影響

2024年11月1日には道路交通法が改正され、自転車の「ながらスマホ」に対して非常に重い罰則が新設されました。
主な内容は次のとおりです。
- スマートフォンなどを手で保持して通話・操作したり、画面を注視しながら自転車を運転する行為
→ 6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 - その「ながらスマホ」により交通の危険を生じさせた場合
→ 1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 - 自転車の酒気帯び運転についても、新たに罰則が整備され、運転者本人だけでなく酒類の提供者等にも罰則が及ぶ場合がある
同じ改正の流れの中で、自転車の違反に対して自動車と同じ「交通反則通告制度(青切符)」を導入することが決まり、2026年4月1日から16歳以上の自転車利用者が対象となる予定です。
警察庁の自転車ルールブックや自治体の広報資料では、おおむね次のようなポイントが共通して示されています。
- 対象は16歳以上
- 青切符の対象となる自転車の違反は約113種類
- 携帯電話使用(ながらスマホ)は反則金12,000円
- 信号無視や通行区分違反(逆走・歩道通行など)は6,000円前後
- 一時不停止や傘さし運転、公安委員会遵守事項違反の代表例として「イヤホン・ヘッドホン使用」「無灯火」などが挙げられ、反則金5,000円とする例が多い
ポイントを整理すると、次のような構図になります。
- イヤホン運転そのものが独立した新しい罪名になるというより、「公安委員会遵守事項違反」の一種として青切符の対象に入る
- これまでは「赤切符にするほどではないが、注意だけでは弱い」というグレーゾーンだった行為について、反則金5,000円で処理できるようになる
- その結果、警察としてはイヤホン運転を含む軽微な違反も青切符で処理しやすくなり、事故多発地点などを中心に取締りが増える可能性が高い
反則金額や対象行為の細かい内容は、今後の運用や政令・規則の改正で変わる可能性がありますが、「2026年4月以降は、イヤホン運転が今よりはっきり“お金がかかる違反”として扱われる」と考えておくとイメージしやすいでしょう。
自転車イヤホンで捕まらない方法
- まず避けたい危険な使い方
- 安全に近づくイヤホンの選び方
- ナビや語学学習をどう聞くか
- 通勤・通学ルート別の注意点
- 事故やトラブル時の備え方
まず避けたい危険な使い方

最初に整理しておきたいのは、「これはやめておいた方がいい」という典型的なイヤホンの使い方です。
交通事故の解説では、自転車でのイヤホン・ヘッドホン使用が事故の一因となった事例が繰り返し紹介されており、音に気を取られた結果、歩行者や自動車の接近に気づくのが遅れたケースが問題視されています。
避けたい代表的な使い方は次のとおりです。
- 両耳密閉型(カナル型・オーバーヘッド型)+大音量で音楽再生
- ノイズキャンセリング機能をオンにしたまま走行する
- 動画やゲームの音声に集中し、前方の状況確認がおろそかになる
- 交通量の多い幹線道路や交差点で、ビートに合わせてスピードを上げるような走行
- 夜間・雨天で視界が悪いのに、昼間と同じ感覚で音量を上げてしまう
このような状態では、警察官の呼びかけや救急車のサイレンを聞き逃すだけでなく、自分の接近に気づいていない歩行者や車両を避けるタイミングも遅れてしまいます。
さらに、自転車走行中は風切り音や路面音が常に耳に入っているため、本人は「大した音量じゃない」と思っていても、実際には外の音がほとんど頭に入っていないことも珍しくありません。
まずは次の前提を持っておくと安全です。
- 走行中に耳から入る情報をほとんど捨ててしまうような使い方は、事故のリスクも「捕まる」リスクも一気に跳ね上がる
青切符が始まると、こうした明らかに危険な使い方は真っ先に取締りの対象になると考えられます。
安全に近づくイヤホンの選び方

それでも「通勤時間にニュースやポッドキャストを聞きたい」「英語のリスニングをしたい」というニーズは根強いと思います。その場合でも、選び方と使い方である程度安全側に寄せることは可能です。
近年は、耳を完全に塞がない骨伝導イヤホンやオープンイヤー型イヤホンが多く販売されており、「周囲の音を聞き取りやすいこと」を特徴として自転車利用などに提案されるケースも増えています。
ただし、警察庁の通達は「イヤホンの形状ではなく、必要な音が聞こえる状態かどうかで判断する」と明記しており、「骨伝導だから安全」「オープンイヤーだから絶対セーフ」という位置づけにはなっていません。
安全側に寄せるためのポイントをまとめると、次のようになります。
- 耳をふさがない構造(骨伝導・オープンイヤー)を選ぶ
- ノイズキャンセリング機能や外音遮断モードは必ずオフにする
- 音量は「周囲の会話や車の走行音がはっきり聞こえるレベル」まで下げる
- 交差点・見通しの悪い場所・人や車が多い場所では再生を止めるか、イヤホンを外す
- 雨や向かい風が強い日は、風切り音を消そうと音量を上げない(可能ならそもそも使わない)
逆に、次のような使い方は骨伝導でも十分に危険ゾーンです。
- 低音強調モード+大音量で音楽に没入する
- 風切り音を打ち消すために、気づかないうちに音量をどんどん上げてしまう
- 夜間の幹線道路やトンネル区間で、長時間連続して再生し続ける
「どのイヤホンを使うか」以上に、「どの音量で」「どの場所で」「どんな走り方をするか」が、最終的に違反かどうかの判断ポイントになることを忘れないようにしましょう。
ナビや語学学習をどう聞くか
最近は、スマホの地図アプリの音声案内や語学学習アプリを、自転車通勤・通学の時間に使う人も増えています。
しかし、2024年11月施行の道路交通法改正により、「スマートフォンなどを手で保持して通話したり、画面を注視しながら自転車を運転する行為」は、新たに懲役・罰金の対象となりました。
画面を見続ける「ながらスマホ」は論外として、音声だけを利用する場合でも、次のような工夫をおすすめします。
- ナビ音声は、スマホを確実にホルダーで固定したうえで、本体スピーカーやハンドルバーの小型スピーカーから流す
- どうしてもイヤホンを使う場合は、オープンイヤー+極小音量にし、分岐が複雑な交差点では必ずいったん停止してルートを確認する
- 語学学習は、車通りの少ない生活道路やサイクリングロードなど、リスクの低いルートに限定する
- 新しい道を走るときは、事前に地図を確認して大まかなルートを頭に入れておく
「音声で案内してくれるから安心」というより、「音声に気を取られて周囲への注意が薄くなる」ことの方が現実には多いと考えた方が安全です。
基本ルールとして、
- ルートが分からなくなったら、まず停車してから画面を見る
- 再生や停止などの操作は停車中に行う
この二つを徹底するだけでも、違反リスク・事故リスクの両方を大きく下げることができます。
通勤・通学ルート別の注意点

同じ「自転車+イヤホン」でも、どこを走っているかによって危険度と、捕まる可能性は大きく変わります。
各地の警察や報道を見ていると、重点的な取締りは次のような場所に集中しています。
- 駅周辺の通学路や通勤ルート
- オフィス街へ向かう幹線道路の大きな交差点
- 自転車事故が多発している区間
- 学校周辺や塾の周りなど、学生の自転車通行が多いエリア
ここでの違反行為(イヤホン使用、傘さし運転、並走、信号無視など)に対して、イエローカードによる指導や、今後は青切符による反則金の適用が想定されています。
通勤・通学ルート別にざっくりイメージすると、次のようになります。
- 駅前の混雑路
→ 歩行者との接触リスクが高く、イヤホン運転は最も警戒されるゾーン。自転車の押し歩きを求められる区間も多い - 幹線道路の車道
→ 車との速度差が大きく、サイレンやクラクションを聞き逃すと重大事故になりやすい - 学校周辺の通学路
→ 特に高校生・中学生のイヤホン運転が問題になりやすく、集中的な指導の対象になりがち - 河川敷やサイクリングロード
→ 車はいないものの歩行者やジョギングの人は多く、「つい気が緩む」エリア。スピードの出しすぎとイヤホンの組み合わせは危険
どのルートでも共通する考え方はシンプルです。
- 人と車が多いところほど、イヤホンは外すか音を止める
- 信号が多い区間や見通しの悪い交差点が連続する区間では、音楽再生自体をやめる
ほんの数秒の聞き逃しが事故に直結することを意識して、「混雑ゾーンでは耳を空けておく」メリハリをつけましょう。
事故やトラブル時の備え方
最後に、「もし事故を起こしてしまったら」「もし事故に巻き込まれたら」という場面を少しだけイメージしておきましょう。
弁護士や保険会社の解説では、イヤホン使用は事故の過失割合を判断する際の一要素として扱われ、場合によっては過失が重く見られる可能性が指摘されています。
例えば、
- イヤホンでサイレンやクラクションに気づかなかった
- 歩行者の接近に気づくのが遅れた
といった事情があると、「注意義務を怠っていた」と評価され、自分が加害者側になったときの賠償額が増える可能性があります。裁判例や解説では、イヤホン・ヘッドホンの使用、携帯電話の使用、二人乗りなどが「著しい過失」とされ、過失割合が10%前後加算される修正要素として扱われることもあるとされています。
一方で、自分が被害者であっても、相手方から「あなたもイヤホンをしていたのだから過失がある」と主張されるケースもあり得ます。実際に、自転車同士の事故でイヤホン装着側の過失が加重された判決も報告されています。
こうしたリスクに備えるため、日頃から次のような準備をしておくことが重要です。
- 自転車保険(個人賠償責任保険)に加入しておく
国土交通省の資料によると、2024年4月1日現在で34都府県が自転車損害賠償責任保険等への加入を義務、10道県が努力義務としており、2025年時点でもこの枠組みが継続しています。
義務や努力義務の有無・対象者は都道府県の条例で異なり、多くの自治体では罰則はありませんが、重大事故では数千万円規模の賠償が問題になる事例もあるため、現実的には加入しておくことが強く推奨されます。 - ヘルメット着用やライト点灯など、他の基本ルールも同時に守る
2023年4月1日からは、年齢を問わずすべての自転車利用者にヘルメット着用の努力義務が課されています。
夜間無灯火や二人乗り、右側通行など、他の違反が重なると過失がさらに加重されるため、「イヤホン以外の基本もセットで守る」意識が大切です。 - 事故が起きたときは、イヤホンの使用状況も含めて、時間・場所・信号の色などを可能な範囲で記録しておく
スマホのカメラで現場や信号、ブレーキ痕、周囲の状況を撮影しておくと、後の示談交渉や保険会社・弁護士との相談で役立ちます。
なお、本記事は一般的な法制度・事故対応の解説であり、個別の事件・事故については必ず警察や弁護士、保険会社などの専門家に相談してください。条例の内容や運用は地域によって異なるため、最終的な判断は各自治体の最新情報に基づいて行う必要があります。
総括:自転車 イヤホン 捕まったときに知っておきたいこと
最後に、この記事の内容をまとめます。
- 自転車でのイヤホン使用は、「安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態」になると、道路交通法の安全運転義務や各都道府県の公安委員会規則に違反し得る
- 全国一律の「イヤホン禁止」条文があるわけではなく、道路交通法第70条の安全運転義務と、第71条第6号に基づく各都道府県の規則を組み合わせて規制されている
- 多くの都道府県で、イヤホン・ヘッドホン使用による「公安委員会遵守事項違反」が定められており、違反した場合は5万円以下の罰金などの刑事罰の対象となる
- 2024年11月からは、自転車の「ながらスマホ」に6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金など、非常に厳しい罰則が設けられた
- 2026年4月からは16歳以上を対象に、自転車にも青切符制度が導入される予定で、傘さし運転や無灯火と並んで、ヘッドホン・イヤホンの使用は反則金5,000円の代表的な違反として各地の資料に位置づけられつつある
- 片耳イヤホンや骨伝導・オープンイヤーでも、「安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態」であれば違反と判断され得る
- 警察庁通達は、イヤホンの種類ではなく「聞こえ方」と「警察官の呼びかけへの反応」を重視するとしており、個別具体の状況で判断される
- 現状ではまず口頭注意や自転車指導警告カード(イエローカード)による警告が多いが、危険な走行や再三の違反では赤切符・青切符や罰金のリスクが高まる
- 取締りは幹線道路・駅前・通学路など、事故多発地点や人・車が集中する場所で特に厳しく行われる傾向がある
- 捕まらないための現実的なラインは、「耳を塞がないイヤホン+極小音量+危険地点では一時停止・音を止める」という組み合わせ
- ナビや学習アプリは「停車して操作」「複雑な場所では音声も一度止める」を徹底し、ながらスマホの罰則強化にも注意する
- 事故時にはイヤホン使用が過失割合や損害賠償に影響する可能性があり、自転車保険への加入やヘルメット着用など総合的な安全対策が欠かせない
- そして何より確実なのは、「交通の多い場所ではイヤホンを外す」というシンプルな習慣を身につけること
2026年4月からの青切符制度スタートを前に、イヤホン運転への目は確実に厳しくなっています。「捕まらないギリギリ」を狙うのではなく、「自分や周りの人が安心して走れるか」を基準に、イヤホンとの付き合い方を見直してみてください。

