自転車のグリップが劣化してベタついたり、表面がひび割れたりしていませんか。グリップは汗や紫外線、摩擦によって徐々に傷んでいくパーツです。
グリップ交換は自転車店でも対応してもらえますが、実は自分でも簡単に行えるカスタムのひとつです。必要な工具も少なく、慣れれば15分程度で完了します。
この記事では、自転車グリップの種類と選び方から、具体的な交換手順、さらにはお店に依頼した場合の費用相場まで、グリップ交換に必要な情報を網羅的に解説します。
- グリップのサイズは22.2mm径が一般的で、ほとんどの自転車に対応する
- グリップ交換の工賃は500〜1,500円程度だが、自分で行えば工具代のみで済む
- ロックオンタイプなら六角レンチだけで簡単に交換できる
- エルゴノミックグリップを選べば手の疲労を軽減できる
自転車グリップの基礎知識
- グリップ交換が必要なタイミングと劣化のサイン
- グリップの種類と特徴(丸型・エルゴ・ロックオン)
- サイズ選びのポイント(22.2mm径・長さ・変速機タイプ)
グリップ交換が必要なタイミングと劣化のサイン

自転車のグリップは消耗品です。使っているうちに劣化が進み、快適性や安全性に影響を及ぼすことがあります。以下のような症状が現れたら、交換のタイミングと考えられます。
まず最も分かりやすいのが表面のベタつきです。グリップの素材に含まれる成分が紫外線や皮脂によって分解されると、表面が溶けたようにベタベタする状態になります。この状態では手袋が汚れるだけでなく、握り心地も悪くなります。
次に確認したいのがひび割れやスリ減りです。長期間使用したグリップは表面に亀裂が入ったり、握る部分だけ薄くなったりすることがあります。クッション性が失われると手への負担が増え、長時間のライディングで疲れやすくなります。
また、グリップが硬くなってしまうこともあります。ゴム素材は経年劣化で弾力性が失われ、握っても沈み込まなくなります。この状態では振動吸収性能が低下しているため、手や腕への負担が大きくなっているとされています。
一般的な交換の目安は2〜3年程度とされていますが、屋外保管の自転車や毎日使用する場合はより早く劣化が進むことがあります。劣化の兆候を見逃さず、適切なタイミングで交換することが快適なサイクリングにつながります。
グリップの種類と特徴(丸型・エルゴ・ロックオン)

自転車のグリップには主に3つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。自分の乗り方や用途に合ったタイプを選ぶことが重要です。
丸型グリップは最もシンプルな円筒形のグリップです。シティサイクル(ママチャリ)に標準装備されていることが多く、価格も500円前後からと手頃です。シンプルな形状のため握り方の自由度が高い一方で、接触面積が小さいため長時間の使用では手のひらに負担がかかりやすいとされています。
エルゴノミックグリップは人間工学に基づいて設計されたグリップです。手のひらが当たる部分が平らに広がっており、握った際に荷重が分散される設計になっています。ドイツのERGON(エルゴン)が代表的なブランドで、長距離サイクリングでの手の疲労軽減を目的として多くのサイクリストに選ばれています。価格は2,000〜5,000円程度のものが多いです。
ロックオングリップは固定方法に特徴があるタイプです。グリップの両端または片端にあるロックリングを六角レンチで締め付けて固定します。グリップボンドが不要で、取り付け・取り外しが簡単なのが最大のメリットです。雨天時でも滑りにくく、確実な固定力を発揮します。
これらのタイプを組み合わせた製品もあります。例えばエルゴノミック形状でロックオン固定式のグリップなど、複数の利点を兼ね備えた製品も販売されています。
サイズ選びのポイント(22.2mm径・長さ・変速機タイプ)
グリップ選びで最も重要なのがサイズ(直径)の確認です。日本で販売されているシティサイクル、クロスバイク、マウンテンバイクなどのハンドルバー外径は、ほとんどが22.2mmです。市販されているグリップの多くはこの径に対応しているため、特殊な自転車でなければ問題なく取り付けられます。
ただし、ロードバイクなどのドロップハンドルは径が異なる(23.8mm等)ため、フラットバー用グリップは装着できません。また、グリップによってはフランジ(つば)の形状や長さが異なる場合があるため、購入前に対応径や形状を確認することをおすすめします。
グリップの長さも重要なポイントです。変速機のタイプによって選ぶべき長さが変わります。
トリガーシフター(ハンドルグリップとは別に変速レバーがあるタイプ)の場合は、左右同じ長さのグリップで問題ありません。多くのクロスバイクやMTBがこのタイプを採用しています。
グリップシフター(グリップを回してギアを変速するタイプ)の場合は、右側のグリップが短い製品を選ぶ必要があります。シフターの可動域を確保するため、右側用は100mm以下の短いタイプが採用されることが多いです。
手の大きさに合わせてグリップの太さを選べる製品もあります。ERGONなどのブランドではSサイズとLサイズが用意されており、握った時の太さを調整できます。手が小さい方や女性にはSサイズが推奨されています。
グリップ交換の具体的な手順
- 必要な工具と準備するもの
- 古いグリップの取り外し方(カット・引き抜き)
- 新しいグリップの取り付け方と注意点
- ロックオングリップの取り付け手順
必要な工具と準備するもの

グリップ交換に必要な工具は意外と少なく、多くは家庭にあるもので対応できます。作業をスムーズに進めるため、事前に以下のものを準備しておきましょう。
カッターナイフまたはマイナスドライバーは古いグリップを取り外す際に使用します。カッターで切り込みを入れてグリップを除去する方法が最も早く、初心者にもおすすめです。古いグリップを再利用したい場合はマイナスドライバーで隙間を作り、引き抜く方法を選びます。カッターは100円ショップでも購入可能です。
パーツクリーナーまたは薄めた中性洗剤はグリップの取り外し・取り付け両方で活躍します。グリップとハンドルバーの間に吹き付けると滑りがよくなり、スムーズに作業できます。パーツクリーナーは揮発性が高いため乾きが早く、作業性に優れています。ホームセンターで300〜500円程度で入手可能です。
六角レンチはロックオングリップの取り付けに必須です。多くの製品は3mmまたは4mmの六角レンチに対応しています。セットで500円程度で購入できるため、持っていない場合はこの機会に揃えておくと便利です。自転車のメンテナンス全般に活用できます。
雑巾やウエスはハンドルバーの清掃に使用します。古いグリップを外した後、ハンドルバーに残った汚れや油分を拭き取っておくと、新しいグリップがしっかり密着します。古いTシャツなどで代用しても問題ありません。
古いグリップの取り外し方(カット・引き抜き)

古いグリップの取り外し方法には大きく分けて2つあります。状況に応じて適切な方法を選びましょう。作業前にはブレーキレバーやシフターに傷をつけないよう、周囲を養生しておくと安心です。
カッターで切る方法が最も手軽で確実です。グリップに縦方向の切れ目を入れ、広げるようにしてハンドルバーから取り外します。グリップは再利用できなくなりますが、作業時間は5分程度と短く済みます。劣化したグリップを交換する場合はこの方法がおすすめです。刃先でハンドルバーを傷つけないよう注意が必要です。
引き抜く方法はグリップを再利用したい場合に選択します。マイナスドライバーをグリップとハンドルバーの隙間に差し込み、パーツクリーナーや水で薄めた中性洗剤を注入します。グリップ内部が濡れて滑りやすくなったら、ねじるように引き抜きます。固着がひどい場合は時間をかけて潤滑剤を浸透させる必要があります。この方法は10〜15分程度かかることがあります。
ロックオングリップの場合は最も簡単です。グリップ端にあるボルトを六角レンチで緩めるだけで、スルッと引き抜けます。エンドキャップがある場合は先に外しておきましょう。ボルトを完全に外す必要はなく、緩めるだけで十分です。
グリップを外した後は、ハンドルバーを雑巾で拭いて汚れを落としておきます。古いグリップボンドや油分が残っていると新しいグリップの固定に影響することがあります。アルコールを含んだウェットティッシュで拭くと効果的です。
新しいグリップの取り付け方と注意点

新しいグリップの取り付けは、ちょっとしたコツを知っているかどうかで難易度が大きく変わります。スムーズに作業するためのポイントを押さえておきましょう。
まず、グリップの内側に少量のパーツクリーナーまたは水をスプレーします。これによりグリップ内部が滑りやすくなり、ハンドルバーへの装着が格段に楽になります。中性洗剤を薄めたものでも代用可能です。
潤滑剤が乾く前に、グリップをハンドルバーに差し込みます。このとき勢いよく一気に押し込むのがコツです。途中で止まってしまうと潤滑剤が乾いて動かなくなることがあります。硬くて入りにくい場合は、グリップを回しながら少しずつ押し込む方法も有効です。
グリップが奥まで入ったら、乾燥するまで位置を調整せずに待ちます。パーツクリーナーを使用した場合は数分で乾きますが、水や洗剤を使用した場合は数時間〜半日程度置くことが推奨されます。グリップとハンドルの間に入った水分は蒸発しにくいため、生乾きの状態で走行するとグリップが抜けて大変危険です。十分な乾燥時間を確保してください。
エンドキャップがある場合は最後に取り付けます。エンドキャップはハンドルバーの端を保護し、転倒時に泥が入るのを防ぐ役割があります。
取り付け後は、グリップを握って回転しないか確認します。乾燥前に確認すると動いてしまうことがあるため、十分に時間を置いてからテストしましょう。
ロックオングリップの取り付け手順

ロックオングリップは構造上、通常のグリップよりも取り付けが簡単です。六角レンチさえあれば特別なテクニックは必要ありません。所要時間は両側で5〜10分程度とされています。
まず、グリップのロックリングにあるボルトを緩めておきます。完全に外す必要はなく、グリップがスムーズにスライドできる程度に緩めれば大丈夫です。ボルトを紛失しないよう小皿などに置いておきましょう。
次に、グリップをハンドルバーに差し込みます。ロックオングリップは内部にスリーブが入っているため、通常グリップほど引っかからずに入ります。それでも入りにくい場合は、少量のパーツクリーナーを吹き付けると楽になります。無理に押し込むとスリーブが変形することがあります。
グリップを奥まで差し込んだら、位置と角度を調整します。エルゴノミック形状のグリップは、手のひらを置く部分が適切な角度になるよう調整が必要です。左右で角度を揃えることで見た目も美しく仕上がります。サドルに座って実際に握りながら調整するのがおすすめです。
最後にボルトをしっかりと締め付けます。締めすぎるとボルトやロックリングが破損することがあるため、適度なトルクで固定しましょう。締め付けた後にグリップを握って回転しないか確認し、問題がなければ完成です。走行前にも再度緩みがないか確認することをおすすめします。
ボルトの位置は好みで調整できますが、転倒時に泥が詰まりにくい方向(ボルトが下向きまたは後ろ向き)にしておくのがおすすめです。
おすすめグリップとお店での交換費用
- 人気のエルゴノミックグリップ(ERGON GPシリーズ)
- 自転車店でのグリップ交換工賃の相場
人気のエルゴノミックグリップ(ERGON GPシリーズ)
エルゴノミックグリップの代名詞ともいえるのがドイツのERGON(エルゴン)ブランドです。人間工学に基づいた設計で、手のしびれや前腕の痛みを軽減することを目的としています。
ERGONのグリップで最もポピュラーなのがGPシリーズです。シリーズ内で複数のモデルが展開されており、用途に応じて選択できます。
GP1はバーエンドがないシンプルなモデルです。手のひらを置く部分が広く設計されており、荷重を分散することで指のしびれを軽減します。街乗りや通勤・通学メインの方に適しています。
GP2およびGP3はショートタイプのバーエンドが一体化したモデルです。バーエンドを握ることで姿勢を変えられるため、長距離ライドでの疲労軽減に効果があるとされています。GP3はGP2よりもやや長いバーエンドが特徴です。
素材のバリエーションとしてBioKorkモデルがあります。ポルトガル産コルクを使用しており、自然な握り心地と環境への配慮が特徴です。手のひらが当たる部分には滑り止め加工が施されています。
ERGONグリップは手のひらの大きさに合わせてSサイズとLサイズが用意されています。グリップ自体の長さではなく、握った時の太さが異なるため、購入前に実際に握って確認することが推奨されます。価格帯はスタンダードモデルで5,500円程度から、Evoシリーズで7,000〜9,500円程度となっています(2026年1月時点の定価)。
自転車店でのグリップ交換工賃の相場

自分での交換に不安がある場合は、自転車店に依頼するのも選択肢のひとつです。工賃の相場と各店舗の料金を把握しておくと、予算を立てやすくなります。
サイクルベースあさひではMTBやクロスバイク(フラットハンドル)のグリップ交換が880円(税込)です。バーエンド付きグリップの場合は追加で880円が加算されます。
アップガレージサイクルズでは550円でグリップ交換に対応しています。中古自転車販売店のため、持ち込み修理にも柔軟に対応していると思われます。
カインズではグリップ交換の基本工賃が500円となっています。ホームセンター併設の店舗が多いため、グリップも同時に購入できて便利です。
サイクリーではロックオングリップの交換が550円から、ラバーグリップ(通常タイプ)が1,100円からとなっています。サイクリーでパーツを購入した場合の料金です。
持ち込みパーツでの交換は、自店購入品よりも工賃が高くなる店舗が多いです。1,000〜1,500円程度を見込んでおくとよいでしょう。
グリップ本体の価格を合わせると、お店での交換トータル費用は1,500〜5,000円程度が目安となります。DIYであれば工賃がかからないため、グリップ本体代のみで済みます。ただし、作業に自信がない場合はプロに任せることで確実な取り付けが期待できます。
総括:自転車グリップ交換のまとめ
この記事のまとめです。
- グリップの表面がベタついたり、ひび割れが見られたら交換のタイミングとされている
- 一般的な交換目安は2〜3年程度だが、使用頻度や保管環境により前後する
- 日本で販売される自転車のハンドルバー径は22.2mmが標準
- グリップシフターの場合は右側用に短いグリップを選ぶ必要がある
- 丸型グリップはシンプルで安価、エルゴ型は疲労軽減に効果があるとされている
- ロックオングリップは六角レンチだけで簡単に交換できる
- グリップ取り外しにはカッターで切る方法と引き抜く方法がある
- 新しいグリップ装着時はパーツクリーナーで滑りをよくするとスムーズ
- ERGONのGPシリーズはエルゴノミックグリップの定番ブランドとして知られている
- S/Lサイズは手のひらの大きさに合わせて選択する
- 自転車店での工賃は500〜1,500円程度が相場
- サイクルベースあさひでは880円から対応している
- カインズでは500円の基本工賃でグリップ交換に対応している
- DIYであれば工具代とグリップ本体代のみで交換可能
- 作業に不安がある場合はプロへの依頼で確実な取り付けが期待できる

