自転車用インカムの選び方|2人・グループ向けの候補と使用ルール

自転車用インカムの選び方|2人・グループ向けの候補と使用ルール

自転車で仲間と会話するためのインカムを選ぶなら、最初に決めたいのは「何人で話すか」です。2人での会話が中心ならSENA pi(パイ)、3人以上のグループで使うならメッシュ通話に対応するBiKom 20が候補になります。

ただし、耳をふさがない製品でも、使用中に安全な運転に必要な音や声が聞こえることが前提です。ここではスマホ通話との違いから、購入に必要な台数、ヘルメットへの装着まで、順番に見ていきます。

この記事のポイント
  • 2人用とグループ用で異なる通信方式
  • 耳をふさがない機種にも必要な使用条件
  • 通信距離・通話時間・必要台数の比較
  • ヘルメットへの適合と接続相手の確認
目次

自転車用インカムの選び方と使用時のルール

インカム同士の会話とスマホ通話はどう違う?

インカム同士の会話とスマホ通話はどう違う?

自転車向けのインカムは、ヘルメットなどに取り付けて、相手の声を聞き、自分の声を届ける通信機器です。たとえばpiは、ヘッドセット同士を接続して2人で会話できるほか、スマートフォンにつないで音声を聞く使い方にも対応します。

pi同士でインターコム通話をするときは、スマートフォンもスマホのデータ通信も必要ありません。相手と接続する設定を済ませ、機器の通信範囲内で会話します。「スマホの通話をずっとつないでおくためのイヤホン」とは、ここが違います。

一方、スマホにつないだpiで電話やLINEのハンズフリー通話をすることも可能です。同じ本体を使っていても、インカム同士の通話とは別の使い方。商品に「Bluetooth対応」と書かれているだけで、どちらの会話ができるかを一緒に考えないようにしましょう。

スマホ経由で相手につなぐ方式の例として、BONXの公式説明では、イヤフォンとスマホをBluetoothで接続し、相手とはインターネット経由で通信する仕組みが紹介されています。選ぶときは「スマホとつながるか」に加えて、「仲間との会話に何を使うか」まで見るのがポイントです。

耳をふさがない形だから、無条件に使えるわけではありません。 警察庁の通達では、イヤホン等の使用形態だけで判断せず、安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態かどうかで違反の成否を判断するよう示されています。片耳か両耳かという違いも、それだけで結論を出す基準にはなりません。

この通達が説明しているのは、都道府県公安委員会規則に基づく規定です。その趣旨はイヤホン等を使うこと自体の禁止ではなく、必要な音や声が聞こえない状態で自転車を運転する行為の禁止。オープンイヤー型や骨伝導型についても、性能や音量などを踏まえ、個別の事実関係に即して判断するとしています。警察庁の通達

そのため、商品説明に「周囲の音が聞こえやすい」とあっても、それだけを使用可否の根拠にはできません。会話の音を大きくして周囲の音や声が聞こえない状態にしないことが必要です。「耳の穴が開いているか」だけで安心せず、使用中の聞こえ方まで考えてください。

また、スマホと連携できることと、走行中にスマホを操作してよいことは別です。警察庁は、自転車を運転しながらスマホ等を手で保持して通話する行為や、画面を注視する行為への罰則が強化されたと案内しています。接続設定などでスマホを使うときは、安全な場所に停車してから行いましょう。

2人で話すか、3人以上で話すかを先に決める

2人で話すか、3人以上で話すかを先に決める

友人や家族と2人で話すことが中心なら、1対1の通話に対応する機種から検討できます。piは最大2人までのインターコム通話に対応。必要な機能が「決まった相手との会話」なら、この人数条件がまず出発点になります。

3人以上で一緒に話したい場合、piを人数分買うだけでは、そのままグループ通話にはなりません。公式カタログでは、piで3人以上の会話をする方法として、別売の「+MESH」を組み合わせる構成が案内されています。

追加機器を使う方法もありますが、最初からグループ用にそろえるなら、メッシュ通話に対応するBiKom 20も比較したいところです。

BiKom 20には、同じチャンネルの利用者と会話する「オープンメッシュ」と、事前に作成したグループのメンバーだけで会話する「グループメッシュ」があります。前者は公式製品ページで接続人数がほぼ無制限とされ、後者は日本語ユーザーガイドで最大24人と案内されています。

仲間内だけで会話したいなら、単にチャンネル番号をそろえる方法と、メンバーを限定する方法を区別しましょう。オープンメッシュは同じチャンネルの他の利用者ともつながる仕組みです。「グループ向け」「人数無制限」という短い表示だけで選ばず、使いたい会話の範囲に合うモードを見ることが大切です。

通信距離・通話時間・風切り音は条件付きで比べる

通信距離の数字は、条件とセットで読みましょう。piの最大400mも、BiKom 20の最大800mも、見通しのよい環境での値です。どんな道でもその距離まで会話が続く保証としては扱えません。piの公式資料にも、使用環境や接続機器などによって異なるという注記があります。

比較する点SENA piBiKom 20
主なインカム通話Bluetoothによる1対1通話メッシュ通話
通信距離見通しのよい地形で最大400m見通しのよい環境で最大800m
通話時間最大6時間メッシュ使用時、最大8時間
充電時間約2.5時間2.5時間
重量37g本体20g
風切り音への対応Advanced Noise Controlによる環境音の低減Advanced Noise Controlによる風や周囲の雑音の軽減

長めのライドを考えているなら、距離だけでなく通話時間も比較したいところ。ただし、表の時間を毎回そのまま使えると見込むのは避けましょう。piは環境や接続機器による違いに加え、ユーザーガイドでバッテリーの経年劣化にも触れています。最大値ぎりぎりまで会話する計画には余裕がありません。

風切り音については、両機種とも軽減する機能がメーカーから案内されています。ただ、これは会話の音声に関する機能です。周囲の音を聞く必要がなくなるわけではありません。聞き取りづらさを音量だけで補い、必要な音や声が聞こえない状態にしないようにしましょう。

充電方法にも機種ごとの条件があります。piの日本語ユーザーガイドは、同梱ケーブルと国内の規格・認証に適合した5Vの充電器等を使うよう案内し、充電中の使用を禁止しています。

充電しながら会話を続ける前提では選ばないでください。

自転車用インカムのおすすめ候補と取り付け・設定

SENA pi(パイ)は2人での会話を中心に選ぶ候補

SENA pi(パイ)は、手持ちのスポーツ用ヘルメットに後付けできるインカムです。左右のユニットをケーブルでつなぐ構成で、操作ボタンは左側に2つ。2人で会話することが主な目的で、スマホのデータ通信を使わずにつなぎたい人の候補になります。SENA pi公式製品ページ

購入時に間違えやすいのは、左右のユニットが2人分ではないことです。左右を組み合わせて1人が使い、pi同士で2人が会話するなら2台必要になります。

相手も何も持っていない場合は、自分用1台の価格だけで予算を決めないようにしましょう。

2026年10月20日時点の日本公式ページでは、「PI-01 pi(パイ)」は1台19,360円(税込)。2人とも新しく購入する場合、本体2台で38,720円という計算です。送料などは含めていません。

1人で使うときにも、スマホと接続して音楽やナビの音声案内を聞いたり、電話に応答したりできます。一方、3人以上のインカム通話には、先ほどの追加構成が必要です。僕なら、普段一緒に走る相手が決まっているか、今後グループで使う予定があるかを分けて考えます。

BiKom 20はグループ通話と軽さを重視する候補

BiKom 20はグループ通話と軽さを重視する候補

BiKom 20は、本体20gのサイクリング用インカムです。ヘルメットのストラップに取り付けるオープンイヤー設計で、複数人で話すメッシュ通話に対応。最初からグループでの利用を考えているなら、piとの大きな比較点はこの通信方式です。BiKom 20公式製品ページ

会話を一時的に相手へ送らないようにする操作は、回転式マイクで行えます。日本語ユーザーガイドでは、マイクアームの回転によるミュートと解除が図で示されています。息遣いなどを送りたくないときの操作も含め、購入前に見ておきたい部分です。

購入単位は、1台のシングルパックと、2個セットのデュアルパックを区別します。以下は2026年10月20日時点の日本公式パッケージページに掲載されたホワイトの税込価格です。

正式なパッケージ名型番台数掲載価格(税込)
BiKom20 シングルパックホワイトBIKOM20-011台27,280円
BiKom20 デュアルパックホワイトBIKOM20-01D2台50,380円

2人とも新しく始めるなら、デュアルパックも候補になります。すでに仲間が対応機器を持っていて自分だけ追加するなら、シングルパックを検討する形です。2人用の本体費用だけを見るとpiを2台そろえる方が低くなりますが、3人以上での通話を前提にするなら、追加機器の要否まで含めて判断しましょう。

手持ちのヘルメットには取り付けられる?

piで最初に見る条件は、ヘルメットのストラップ幅です。公式仕様では最大18mmまでとされています。「自転車用ヘルメットだから取り付けられる」と決めず、実際に取り付ける部分の幅と、左右のユニットを耳の位置へ合わせられるかを見てください。

piの取り付けは、左右のあごひもにストラップフックを挟む構成です。日本語ガイドでは、できるだけヘルメット寄りに装着し、前方の内側パッドへケーブルを飛び出さないように収めたうえで、ヘッドセットが耳の位置にくるよう調整すると案内されています。

左右の位置だけでなく、ケーブルの収め方も取り付けの一部です。piの取り付けガイド

BiKom 20には、厚いヘルメットストラップ用と薄いストラップ用の2種類のマウントが同梱されます。説明書の取り付け図は、マウントをストラップへ付け、そこに本体を装着し、耳に対する位置を調整する順番です。本体を直接ひもへ挟む製品だと思わず、付属マウントを含めて装着する構成を見ておきましょう。

BiKom 20にはキャップ用クリップマウントも同梱され、ヘルメット以外への装着にも対応しています。ただし、自転車用ヘルメットで使う予定なら、購入判断の中心は自分のヘルメットへの装着です。「キャップにも付く」という説明から、手持ちのヘルメットとの適合まで保証されると受け取らないでください。

使い始めの接続設定と他機種との互換性を確認する

使い始めの接続設定と他機種との互換性を確認する

pi同士を接続するなら、本体ボタンから設定できます。2台それぞれのマイナスボタンを5秒間押し続け、「インターコムペアリング」の音声案内と赤色LEDの点滅を確認します。その後、双方が青色点滅へ変わると登録が完了し、通話状態になります。登録後の通話開始・終了は、マイナスボタンの1秒長押しです。

BiKom 20のオープンメッシュでは、会話する相手と同じチャンネルを使います。日本語ガイドでは6つのチャンネルが用意され、初期設定はチャンネル1。仲間だけのグループメッシュを使う場合は、事前にグループを作成する方式です。まずは使うモードを全員で合わせましょう。

すでに別のSENA製品を持っている人と使う場合も、製品名だけでは判断できません。BiKom 20の2026年2月24日更新の日本語ガイドは、メッシュ2.0を使う旧製品と通信するとき、Sena Cyclingアプリでメッシュ2.0へ切り替える必要があると説明しています。

なお、このガイドの対象は本体ソフトウェアのバージョン1.3.xです。

piには他社製Bluetoothヘッドセットと会話するユニバーサルインターコム機能もあります。ただし、公式ガイドはメーカー・モデルによって非対応の製品があると明記。さらに、この接続では通常より通信距離が短くなり、2台目の電話ペアリングが使えなくなるという条件があります。

相手がすでに機器を持っているなら、購入前に型番と接続方法を突き合わせるのが先です。「Bluetooth対応同士だから」「同じメーカーだから」という理由だけでそろえると、使いたい通話方式と合わない可能性があります。互換性の説明には、使えなくなる機能や距離の条件も含めて目を通してください。

最後に、出発前の停車中に、相手と実際に会話できることと音量を確かめましょう。piは音楽・電話・インターコムで別々に音量を設定でき、その設定は再起動後も維持されます。スマホを使った設定が必要になった場合も、安全な場所に停車してから行い、周囲の音や声が聞こえる条件を保つことが大切です。

自転車用インカムの選び方まとめ

この記事のまとめです。

  • pi同士のインターコム通話には、スマホやスマホのデータ通信が不要です。
  • 耳をふさがない機種でも、安全な運転に必要な音や声が聞こえることが前提です。
  • スマホで接続設定などを行うときは、安全な場所に停車してから使います。
  • 2人での会話が中心ならpi、3人以上ならメッシュ対応のBiKom 20が候補になります。
  • BiKom 20は、同じチャンネルで話すオープンメッシュと、最大24人の非公開グループを使い分けられます。
  • 最大通信距離は、piが400m、BiKom 20が800m。どちらも見通しのよい環境での値です。
  • 通話時間はpiが最大6時間、BiKom 20がメッシュ使用時に最大8時間で、最大値ぎりぎりの利用計画は避けます。
  • piの左右のユニットは1人分です。2人とも新しくpiを購入する場合、本体2台で税込38,720円という計算です。
  • BiKom 20は1台のシングルパックと2台のデュアルパックを区別し、必要な台数で比較します。
  • piの取り付け可能なストラップ幅は最大18mm。BiKom 20には厚い・薄いストラップ用のマウントが同梱されます。
  • 他機種と使う場合は型番と通信方式を確認し、メッシュのバージョンや他社接続時の制限も照合します。
参考にした情報
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

はじめまして、チャリネコです。
子どもから大人まで、きっと誰もが一度は乗ったことのある自転車。
とても身近な乗り物だけど、実は知らないことっていっぱいありませんか?

目次