自転車でツーリングを始めるなら、まずは近くの公園や気になるお店へ、日帰りで出かけてみましょう。最初から長距離を走ったり、宿泊用の道具をそろえたりする必要はありません。今ある自転車で短いサイクリングを楽しみ、慣れてから行き先を広げる始め方もあります。
僕なら、最初に決めるのは「何km走るか」より「どこで何を楽しみたいか」です。そのうえで、走行時間、帰り方、必要な荷物を順番に考えます。この記事では、最初の日帰りから宿泊を伴う旅まで、準備する順序に沿って紹介します。
- 日帰りから始める自転車旅の計画
- 距離・道・荷物に合わせた自転車選び
- 持ち物と出発前点検の基本
- 暑さへの対応と電車で帰るための準備
自転車でツーリングを楽しむための計画と選び方
初めては日帰りから。宿泊やキャンプは楽しみに合わせて

ツーリングは、自転車で旅をする楽しみ方です。専門店のエイリン丸太町店も、日帰り、電車を組み合わせる旅、本格的な長距離旅行など、さまざまなスタイルを紹介しています。「泊まらないとツーリングとは呼べない」と考えなくて大丈夫。
近場で景色を眺めたり、ご当地の食べ物を味わったりする一日も、自転車旅の入り口です。
日帰りに慣れたら、次は宿に泊まる旅を考えてみましょう。途中に一泊を入れると、その日のうちに自宅へ戻る行程とは違う計画が組めます。行きたい場所を増やすだけでなく、カフェや景色のよい場所で過ごす時間を増やす、という使い方もできます。
一方、キャンプツーリングは、走ることにテント泊や野外での調理を組み合わせる旅。テント、寝袋、調理器具、洗面用具、着替えなどが加わるため、荷物選びも旅の大きな要素になります。まず走る楽しさを知りたいなら日帰りから、キャンプそのものを楽しみたいなら宿泊装備も含めて計画する、という分け方がおすすめです。
自転車は旅の距離・道・荷物から選ぶ
最初の短い日帰りなら、いきなり専用車を購入するところから始めなくてもかまいません。サイクルベースあさひは、今乗っている自転車でサイクリングを始める方法を案内しています。ただし、「手持ちの自転車で始める」ことと、不具合を放置して走ることは別。出発前の点検は、後半のチェック項目を参考にしてください。
買い替えを考えるときも、車種名だけで決める必要はありません。クロスバイク、ロードバイク、マウンテンバイク、小径車など、旅に使う自転車の種類はさまざま。エイリン丸太町店は、伝統的な旅行用自転車のランドナーやスポルティーフのほか、グラベルロードなどもツーリングの候補に挙げています。
同店が旅用の自転車の特徴として挙げるのは、荷物を積んだときの安定性、長旅での疲れを抑える構造、キャリアやボトルを取り付けられることなど。距離や装備によるものの、タイヤ幅は30mm以上が望ましいという目安も示しています。これはすべての日帰りに必須の条件ではありません。
宿泊荷物を積む旅を考えるときの、相談材料にするとよいでしょう。
距離より走行時間を決め、帰りと寄り道を含めてルートを組む
初めてなら、距離の達成を目標にするより、短い時間で試す計画がおすすめです。あさひの案内には「走行時間を1時間、片道30分」とする例があります。これは誰もが一定の距離を走れるという意味ではなく、距離にこだわらず自分のペースをつかむための考え方。
近所の公園やパン屋など、立ち寄りたい場所から行き先を考えてみましょう。
少し長い観光サイクリングでは、地域の案内も参考になります。しまなみジャパンは、初心者の目安として1時間に10km程度、半日30km、1日50km程度を挙げています。ただし、これは同団体のしまなみ海道向けの案内。初回から50kmを走るべきという基準ではありません。
同じページでも、写真や景色を優先する場合やグループの人数によって事情が変わると説明しています。
| ルートの形 | 計画の立て方 | 向いている楽しみ方 |
|---|---|---|
| 自宅を出て自宅へ戻る | 帰りを考え、折り返す場所を決める | 近場の道やお店を少しずつ開拓する |
| 宿やレンタサイクル貸出所などを拠点に周遊 | 出発地点へ戻るコースを組む | 旅先の町や周辺を巡る |
| 片道を走り、公共交通機関で戻る | 自転車を運べる条件を先に調べる | 一方向へ進む旅を楽しむ |
予定表には、走る時間に加えて、食事や写真、休憩の時間も入れておきましょう。目的地までの距離だけを見ていると、楽しみにしていた寄り道が行程からこぼれてしまいます。ルート上で立ち寄りたい場所と、いったん休む場所を合わせて決めると、旅の一日の姿が見えてきます。
暑い日の休憩と水分補給については、後半で公的な指針を紹介します。
荷物は日数に合わせ、車体に取り付けるバッグも検討する

日帰りでも、財布、スマートフォン、家の鍵などは持ち歩きます。ポケットだけでは邪魔になりやすく、リュックでは背中の蒸れが気になることも。あさひは、ハンドル周辺、フレーム、サドル下などに取り付けるバッグを紹介しています。まず携行品を決め、それが収まるサイズと容量を選びましょう。
| 荷物の運び方 | 特徴 | 検討する場面 |
|---|---|---|
| 小さめの車体用バッグ | 必要な携行品に合わせて容量を選べる | 荷物の少ない日帰り |
| キャリアとパニアバッグ | 荷台の左右にバッグを取り付ける方式 | 宿泊が続き、荷物が多くなる旅 |
| 大型サドルバッグなどの組み合わせ | キャリアを使わず車体に直接バッグを取り付ける方式 | 荷物を絞り、走行の軽快さも重視する旅 |
車体に直接バッグを付ける積載スタイルは「バイクパッキング」と呼ばれます。大型サドルバッグ、フロントバッグ、フレームバッグなどを組み合わせる方法です。宿泊が続いて荷物が増えるならパニアバッグ、荷物を厳選して軽快さを重視するならバイクパッキング、という比較ができます。
ただし、大きいバッグさえ用意すれば旅の準備が終わるわけではありません。キャンプでは寝具や調理器具が加わり、自転車に積める荷物には限りがあります。
持っていく物を厳選し、雨への備えとしてバッグの防水機能も選択基準に入れましょう。
自転車でツーリングに出る前の準備と走り方
持ち物は安全装備・携行品・補給品に分けて準備する
- 安全のための装備:ヘルメット、ライト、反射材
- 手元に置く携行品:財布、身分証、スマートフォン、家の鍵
- 飲食のための物:飲み物、おにぎりや羊羹などの軽食
- 天候に応じた物:レインウェア、タオル
- トラブルへの備え:修理に必要な知識と合わせて検討する工具、パンク修理キット、携帯ポンプ
服装は、最初から全身を専用品にそろえる必要はありません。スポーツ用品メーカーのデサントは、初めは動きやすい服装で始める案内をしています。専用ウェアを選ぶ段階では、見た目だけでなくサイズや機能も比較しましょう。同社は、夕方や夜間、トンネルを通る場合に反射素材を使ったウェアを選ぶことも勧めています。
修理用品は、持っているだけで使えるようになるものではありません。あさひも、その場での修理には知識や適切な工具が必要だと説明し、初心者には自転車店への相談を勧めています。工具を買うときは、自分の自転車に何が必要か、どう使うかも一緒に相談しておくとよいでしょう。
タイヤ・ブレーキ・固定部分を出発前に点検する
ツーリングの準備で、持ち物と同じくらい大切なのが車体の状態です。警察庁は、タイヤの摩耗やブレーキの不具合が転倒や衝突回避に影響するとして、利用の都度の点検を求めています。「昨日走れたから」という理由で、省かないようにしましょう。
| 点検する場所 | 見るポイント |
|---|---|
| 前後のタイヤ | 空気圧が適切か、深い傷や摩耗がないか |
| ブレーキ | よく効くか、ワイヤーにさびや切れがないか |
| ハンドル・グリップ | 緩みがないか |
| サドル | 緩みやがたつきがないか |
| 車輪・各部の固定 | 車輪やねじの固定が十分か |
表はブリヂストンサイクルの点検案内をもとにした主な確認箇所です。同社は、タイヤ側面に表示された推奨空気圧を確認するよう案内しています。空気圧を一律の数字で覚えるのではなく、使うタイヤの表示を見ることが大切です。低い空気圧はパンクしやすさや摩耗に関係するとされています。
異常が見つかったら、そのまま出発せず販売店へ。ブリヂストンサイクルは、転倒などで大きな衝撃を受けた場合にも、販売店での点検・修理を求めています。詳しい確認方法は、同社の重要な点検ポイントを参照できます。
景色や会話を楽しむ前に、通行場所と交差点のルールを押さえる


自転車は原則として車道の左側を通行します。歩道は例外で、歩行者優先。道路標識などにより歩道を通行できる普通自転車は、車道寄りを徐行し、歩行者の通行を妨げるときは一時停止します。
警察庁は、歩道を通行できる自転車について、長さ190cm以内・幅60cm以内などの基準を満たす普通自転車に限るとも説明しています。
交差点では信号を守り、青信号でも周囲の安全確認を。一時停止標識がある場所では必ず止まります。標識がなくても、安全を確認できない場合は停止するか、十分に速度を落として進行するのが警察庁の案内です。知らない町を走るときも、景色に気を取られたまま交差点へ入らないようにしましょう。
スマートフォンは道案内や連絡に便利ですが、走行中に通話したり画面を注視したりしてはいけません。警察庁は、片手運転でブレーキをかけにくくなることや、画面に集中して歩行者や信号を見落とす危険を説明しています。ナビを持つことと、画面を見ながら走ることは分けて考えましょう。
夜間はライトを点灯し、反射材も併用します。ヘルメットを着用し、飲酒運転はしないこと。食事や観光を楽しむ旅でも、この基本は変わりません。警察庁の自転車の交通ルールで、出発前に一度おさらいしておきましょう。
暑さは気温だけで判断せず、休憩や中止も計画に入れる
暑い日の判断には、暑さ指数(WBGT)を使いましょう。これは気温に加え、湿度や日射など周囲の熱環境を取り入れた指標で、気温そのものとは異なります。天気予報の最高気温と、暑さ指数の数字を混同しないことが大切です。
環境省が掲載する熱中症予防運動指針では、暑さ指数25以上28未満は積極的な休憩と適宜の水分・塩分補給、28以上31未満は激しい運動の中止が示されています。28以上31未満では、暑さに慣れていない人などは運動を軽減または中止するという条件もあります。
31以上は運動を原則中止とし、特に子どもは中止すべきとされています。
飲み物を持ったから予定どおり走れる、と考えず、出かけるかどうかも含めて判断しましょう。また、暑さ指数が低い場合も、適宜の水分・塩分補給は必要です。詳しい区分は環境省の暑さ指数の案内で確認できます。
雨への準備は、荷物に入れやすいレインウェアが候補です。デサントは、休憩時に少し寒くなったときにも羽織って風をしのげる物として紹介しています。持参する雨具を決めてからバッグの容量を選ぶと、出発直前に入りきらず困ることも避けやすくなります。
電車で帰るなら、自転車を持ち込む条件まで準備する


片道を自転車で走り、帰りに電車を使う計画もあります。ただし、「疲れたら駅へ行けばよい」とだけ考えて出発するのは避けましょう。鉄道へ自転車を持ち込むには条件があり、準備する袋や収納方法まで決めておく必要があります。
例えばJR東日本の一般の手回り品案内と公式FAQでは、サイクリングなどに使用する自転車は、解体して専用の袋に収納したもの、または折りたたみ式自転車を折りたたんで専用の袋に収納したものを無料で持ち込めるとしています。専用の袋には輪行袋などを利用します。
ここで無料なのは自転車の持ち込みで、人が乗車する運賃が無料になるという意味ではありません。
同社の手回り品の基本条件は、携帯できる荷物で、縦・横・高さの合計250cm以内、長さ2mまで、重さ30kg以内の物を2個まで。スポーツ用品などには長さの制限に関する例外もあります。一方、列車が大変混雑している場合などは持ち込みを断ることがあるため、袋に入れれば必ず乗れるとは限りません。
自転車でツーリングを始めるためのまとめ
この記事のまとめです。
- ツーリングは日帰りでも楽しめる。最初は近場で目的を決める
- 短いサイクリングは手持ちの自転車から始められるが、点検は必要
- 旅用の自転車は車種名だけでなく、荷物の積載や走る距離から選ぶ
- 初回は距離にこだわらず、短い走行時間を目安にする
- ルートには帰り道と、食事・写真・休憩の時間も含める
- バッグは日帰り・宿泊・キャンプで変わる荷物量に合わせる
- 安全装備と携行品を用意し、修理用品は使い方も含めて相談する
- 車体を点検し、異常や大きな衝撃を受けた場合は販売店へ相談する
- 車道の左側通行を基本に、信号・一時停止を守り、飲酒運転をしない
- 暑さ指数31以上は運動を原則中止。低い場合も水分・塩分補給が必要
- 電車を使う帰り方は、利用事業者の収納条件や混雑時の扱いまで調べる
参考にした情報
- はじめてのサイクリングを応援! | 特集・イベント | サイクルベースあさひ
- 特集 ~スポーツバイクの純粋な楽しみ方~ツーリングに行こう!! | 京都のスポーツ自転車専門 エイリン丸太町店
- サイクリング初心者向け 必要な装備はこの7つ!
- 自転車の交通ルール|自転車ポータルサイト
- 手回り品:JR東日本
- 重要な点検ポイント | お客様サポート | ブリヂストンサイクル株式会社
- 環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数とは?
- 自転車等の大きな荷物を持って、列車に乗ることはできますか。 | よくいただくお問い合わせ(FAQ)|JR東日本
- 初めての方へ – しまなみジャパン
- 【初心者向け】サイクリングルートの選び方~距離の決め方から泊まりがけの旅まで | しまなみ自転車ツーリングTips










