歩道にある、青い丸に自転車と人が描かれた標識。これは、普通自転車がその歩道を通行できることを示します。ただし、「通行可」でも歩行者が優先。通る場所や速度には決まりがあります。
また、この標識がない歩道でも、運転する人の年齢や車道の状況によっては通行できる場合があります。まずは標識の見分け方と通行できる条件を、そのあとに歩道での走り方を見ていきましょう。
- 自転車通行可の標識の見た目と意味
- 標識がない歩道を通れる条件
- 歩道の走行位置と歩行者優先のルール
- 通行方向と横断歩道での判断
自転車通行可の標識の意味と、歩道を通れる条件
青い丸に自転車と歩行者の絵がある標識が目印

歩道で探す目印は、青い丸の中に、白い自転車と大人・子どもの図柄がある標識です。警視庁は、歩道通行を説明する際に「普通自転車歩道通行可」の標識として案内しています。国土交通省の標識一覧では、この図柄の名称は「普通自転車等及び歩行者等専用」です。
歩道にこの標識があると、普通自転車はその歩道を通行できます。「歩道を走らなければならない」と命じる意味ではありません。自転車は車道通行が原則で、この標識は例外として歩道の通行を認めるものです。車道を走るときは、引き続き左側を通行します。
ここで混同したくないのが、「自転車も通れる」と「自転車が優先される」の違い。歩道通行が認められても、歩行者優先は変わりません。歩行者の通行を妨げるときは、自転車側が一時停止する必要があります。
図柄を確かめたいときは、国土交通省の道路標識一覧の「325の3」を見ると確認できます。この記事で説明するのは、歩道にこの標識がある場合の通行ルールです。
自転車だけの標識・通行止め・「自転車を除く」との違い
自転車の絵があっても、どれも同じ「歩道通行可」ではありません。人の絵もあるか、赤い縁や斜線があるか、丸形か四角形かまで見ると区別できます。
| 見た目・表示 | 自転車で通るときの意味 |
|---|---|
| 青い丸に自転車と歩行者 | 歩道に設置されている場合、普通自転車がその歩道を通行できる |
| 青い丸に自転車だけ | 「特定小型原動機付自転車・自転車専用」の標識。自転車が通行できる道路を示し、歩道通行可の標識とは区別する |
| 青い丸に歩行者だけ | 「歩行者等専用」の標識。自転車は原則として乗って通行できない |
| 赤い縁の丸に自転車と赤い斜線 | 「特定小型原動機付自転車・自転車通行止め」の標識。自転車の通行は禁止 |
| 青い四角に自転車と「専用」 | 「普通自転車専用通行帯」の標識。歩道ではなく、普通自転車が通行する車両通行帯の指定 |
もう一つ、標識の下にある「自転車を除く」という補助標識にも注目です。これは、組み合わされた規制から自転車を除外する表示。たとえば一方通行道路で自転車の逆方向への通行が認められている場合でも、自転車は進む方向に対して道路の左側を走ります。
「自転車を除く」は、それだけで近くの歩道まで通行可にする表示ではありません。どの標識に付いているのかをセットで読み、車道の規制と歩道を通れる条件を分けて考えましょう。
歩道通行の対象は「普通自転車」

標識があれば、どんな自転車でも歩道を走れるわけではありません。対象は「普通自転車」。車体の大きさや構造が定められた基準に合い、ほかの車両をけん引していない自転車を指します。
- 車体の長さが190cm以内、幅が60cm以内
- 車輪が4輪以下
- 側車を付けていないこと。ただし、補助輪は除く
- 運転者以外の乗車装置がないこと。ただし、幼児用乗車装置は除く
- ブレーキが走行中に容易に操作できる位置にあること
- 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭い突出部がないこと
長さと幅だけで判定せず、構造の条件も含めて見る必要があります。また、幼児用の座席は「運転者以外の乗車装置がない」という条件の例外です。子ども用の座席が付いているという理由だけで、普通自転車から外れるわけではありません。
一方、2人分などの乗車装置とペダル装置が前後に並ぶタンデム自転車は、普通自転車ではありません。警視庁も、タンデム自転車は乗車して歩道を通行できないと説明しています。
通行可の標識を見るときは、標識だけでなく、乗っている自転車が対象に入るかも大切です。
標識がない歩道でも通れるのはどんなとき?
普通自転車の歩道通行が認められる理由は、標識だけではありません。標識がない場合でも、次のような条件に当てはまれば通行できます。なお、道路標識だけでなく、道路標示によって歩道通行が認められている場合もあります。
- 運転者が13歳未満の子ども、または70歳以上の人であるとき
- 運転者に、車道通行に支障がある身体の障害があるとき
- 車道や交通の状況から、通行の安全を確保するために歩道を通ることがやむを得ないと認められるとき
年齢の境目は、13歳「未満」と70歳「以上」です。13歳になった人は、年齢だけを理由にした例外には当てはまりません。ただし、標識等による許可や、車道の状況による別の条件に該当する可能性はあります。「子どもならいつでも」「大人なら絶対に通れない」と一括りにはできません。
道路状況の例として警視庁が挙げているのは、道路工事や連続した駐車車両のために車道の左側を通るのが困難な場所です。また、自動車の通行量が著しく多く、かつ車道が狭いなどのために、追い越す車との接触事故の危険がある場合も挙げています。
判断の中心は、通行の安全を確保するために「やむを得ない」と認められる状況かどうかです。標識が見当たらないから直ちに通行不可と決めるのでも、車が走っているから自由に歩道へ入れると考えるのでもなく、具体的な道路・交通の状況に照らして判断します。
自転車通行可の標識がある歩道で守る走り方
歩道の車道寄りを徐行し、歩行者を妨げるときは止まる
歩道に自転車の通行部分が指定されていない場合は、歩道の中央から車道寄りの部分を徐行します。「歩道の左端」と覚えると、進む向きによっては建物側へ寄ってしまいます。基準にするのは、自分から見た左右ではなく車道の位置です。
徐行とは、直ちに停止できるような速度で進むこと。歩道での判断基準は「いつもの走行より少し遅いか」ではなく、すぐに止まれるかです。歩行者が見当たらないときも、通行指定部分のない歩道では徐行する必要があります。
さらに、歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止します。速度を落とすことと、必要なときに止まることは別の決まりです。「ゆっくりだから、そのまま通ってよい」とはなりません。自転車が進むことで歩行者の通行を妨げるなら、止まって歩行者を優先します。
対向する自転車とのすれ違いに危険を感じる場合について、警視庁は自転車から降りて押して歩くよう案内しています。通行できる歩道であっても、乗ったまま進み続けることにこだわる必要はありません。
歩道に自転車の通行部分が指定されている場合


歩道には、道路標識等で普通自転車が通る部分を指定している場所があります。これが「普通自転車通行指定部分」です。この部分がある場合は、単に車道寄りを選ぶのではなく、指定された場所を通行します。
| 歩道の状況 | 通る場所と速度 |
|---|---|
| 普通自転車通行指定部分がない | 中央から車道寄りの部分を徐行 |
| 指定部分があり、その部分に歩行者がいる | 指定部分を徐行し、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止 |
| 指定部分があり、その部分に歩行者がいない | 指定部分で、すぐに徐行へ移れる速度で進行できる |
違いは、指定部分に歩行者がいないときの速度です。この場合は「すぐに徐行へ移れる速度」で進めます。ただし、これは通行指定部分を通っていて、そこに歩行者がいない場合の扱い。通行可の標識がある歩道すべてに当てはまる例外ではありません。
また、指定部分があっても歩行者優先です。歩行者がいる場合は徐行し、通行を妨げる場合は一時停止します。自転車が通る場所として指定されていることを、歩行者に道を空けてもらう根拠にはできません。
右側の歩道も通れる?車道や専用通行帯との違い
普通自転車の通行が認められている場合は、道路の左右どちらの歩道も通行できます。また、歩道では自転車同士の相互通行が可能です。「自転車は左側通行」という車道のルールを、そのまま道路の右側にある歩道の通行禁止という意味にしないようにしましょう。
| 通行する場所 | 方向の基本ルール |
|---|---|
| 普通自転車が通行できる歩道 | 道路の左右どちらの歩道も通行でき、相互通行が可能 |
| 車道 | 左側を通行 |
| 普通自転車専用通行帯 | 道路の左側にある専用通行帯を通行し、相互通行は不可 |
| 通行できる路側帯 | 道路の左側にある路側帯を通行し、相互通行は不可 |
特に、歩道内の「普通自転車通行指定部分」と、車道の「普通自転車専用通行帯」は区別が必要です。名前は似ていますが、前者は歩道の一部で相互通行が可能、後者は車両通行帯で相互通行できません。自転車のための場所という共通点だけで、同じ走り方だと考えないことが大切です。
右側の歩道を通れる場合でも、その隣の車道や専用通行帯まで同じ方向に走ってよいことにはなりません。歩道から別の通行場所へ移る際は、移った先の方向のルールが適用されます。歩道を走っている間も、通る位置は車道寄り、または指定部分です。
横断歩道や交差点では、通行可の標識だけで判断しない


歩道を通れることと、その先の横断歩道を乗ったまま渡れることは別に判断します。横断歩道は、歩行者が道路を横断するための場所です。歩道の通行可の標識があっても、横断中の歩行者の通行を妨げるおそれがある場合は、自転車に乗ったまま通行してはいけません。
近くに自転車横断帯がなく、横断歩道を利用する場合について、愛知県警察は、歩行者がいないなど通行を妨げるおそれがないときは乗って渡れると説明しています。一方、歩行者がいるときなどは、自転車から降り、歩行者の妨げにならないよう押して渡る案内です。
「横断歩道は必ず乗れる」「必ず降りる」と条件を省かず、歩行者の状況も見て判断します。
道路や交差点、その付近に自転車横断帯がある場合は、その自転車横断帯を通行しなければなりません。横断歩道と自転車横断帯の両方がある場所では、乗って横断する自転車は自転車横断帯へ。歩道の標識に加えて、横断する場所の指定も見る必要があります。
歩道を走行してきた場合は、対面する歩行者用信号機に従います。警視庁の案内では、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示がある場合も、ない場合も、この扱いです。通行可の標識は、信号を無視して進めるという意味ではありません。
通行場所や横断方法の図は、警視庁の「自転車の交通ルール」でも確認できます。標識で歩道を通れる条件を確かめ、歩道内では歩行者優先、横断するときは横断帯や信号に従う、という順に考えましょう。
自転車通行可の標識と歩道のルールまとめ
この記事のまとめです。
- 歩道にある青い丸に自転車と歩行者が描かれた標識は、普通自転車がその歩道を通行できることを示します。
- 通行可は歩道を走る義務ではなく、歩行者より優先される意味でもありません。
- 自転車だけの青い標識、通行止め、四角い専用通行帯の標識は、それぞれ意味が異なります。
- 歩道通行の対象は、長さ190cm以内・幅60cm以内など、大きさと構造の基準を満たす普通自転車です。
- 標識がなくても、13歳未満・70歳以上、車道通行に支障がある身体の障害、安全確保のためやむを得ない道路状況などの条件で歩道を通行できます。
- 通行指定部分のない歩道では、中央から車道寄りを、直ちに停止できる速度で徐行します。歩行者の通行を妨げるときは一時停止が必要です。
- 普通自転車通行指定部分があればそこを通り、その部分に歩行者がいない場合は、すぐに徐行へ移れる速度で進行できます。
- 普通自転車の通行が認められる歩道は左右どちらも通れますが、車道・専用通行帯・通行できる路側帯は左側通行です。
- 横断歩道で歩行者の通行を妨げるおそれがある場合は乗ったまま通行できません。自転車横断帯がある場合は、その横断帯を通ります。
- 歩道を走行してきた場合は、対面する歩行者用信号機に従います。










